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世界のトップレベルスタートアップが、Webデザイナー・UIデザイナーに提示している報酬とは?

この記事はGoogle Venturesのデザインパートナーを務めるDANIEL BURKA氏の記事を公式に許可をいただき翻訳したものです。
世界トップレベルのスタートアップが集まるサンフランシスコにおいてデザイナーの報酬がどのように評価されているのかを紹介しています。
※注意点:サンフランシスコは現在物価が高騰しており日本よりも高水準なレートになっています。
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数週間前のことです。私は、経験を積んだあるプロダクトデザイナーとお茶をしました。ここでは、彼の名前はカールにしておきましょう。カールは、サンフランシスコの名のあるスタートアップで五年間働いてきましたが、変化を求めていました。カールは、素晴らしい経験とスキルの持ち主でした。(しかも、コーディングも十分できました)

話を聞いた私は、カールにぴったりなスタートアップのいくつかにメールを出しました。そのうちの一つはほぼ完璧な条件で、デザイン的に挑戦ができるし、カールの個人的な興味に合う企業でした。次の日には、面接があり、チームは大興奮な模様でした。次の24時間以内にCEOは、カールにリードデザイナーとしての役職をオファーしました。

しかし残念なことに、提示された報酬額が驚くほどに低かったのです。報酬を聞いて、カールは不満に思いました。カールは、自分自身の価値が低く見られたと感じ、加えて、「この会社はおそらくデザインそのものに重きをおかない企業なのではないのか」と不安に感じました。なぜ、このような致命的なことが起きてしまうのでしょうか?

スタートアップの企業にとって、公平な報酬を与えることは難しいものになりがちです。人気の求人サイトで手に入るデータもはっきりしていない場合があります。信用がありそうな給与チャートに見えても、問題が隠されています。気をつけてください、ほとんどはだいぶ低いのです。

私たちは、Google Venturesで投資先企業に対して、シニアデザイナーの募集、面接、採用の支援業務を行っています。過去2年間だけで40人以上のトップレベルのデザイナーの採用を支援した実績があります。そのため、デザイナーの採用にあたって何が効果的か、多少なりとも知っていますし、常に方法を探っています。

私は、この数日間、公開されている給与情報を分析し、私たちの投資先企業や同様の他のスタートアップ企業の全体像を明らかにしてみました。以下がわかったことです。

問題点

オンラインで給与情報を検索するとき、最初に出てくるのはGlassdoorAngelListSimplyHiredでした。それぞれのサイトでは、地域と職種を入力すると代表的な給与グラフを表示します。「サンフランシスコのUXデザイナー」の給与範囲はパッとでてきます。さて、ここでの問題点はなんでしょう?

・「デザイナー」の範囲が広い 

多くの給与情報サイトは、様々なデザイナーをひとくくりにしてしまっています。トップのスタートアップに雇われるようなUXデザイナーやデジタルプロダクトデザイナーより、グラフィックデザイナーの方が一般的に給与は低いものです。

・デザイン会社の給与が、給与データを下げている

webで手に入る給与データはデザイン会社の給与も含まれています。例えば、Glassdoorは、デザイン会社の情報も含めていますが、それが給与を下げている理由です。多くのデザイン会社は、若いデザイナーを安い給与で雇って煽ることによって儲けているのです。サンフランシスコのデザイン企業の「シニアUXデザイナー」は、おそらく卒業したての24歳で、給与は60,000ドル程でしょう。

・全てのスタートアップが平等ではない

デザイン企業の登録が少ないAngelListでさえも、デザイナーに十分なフィーを支払っていないスタートアップが多くあります。(起業したてで資本が少ないのか、もしくは、単にデザインを重要視していないのか。) まるで、メジャーリーグとファームチームを全てひとくくりにして野球選手の給与を調べるようなものです。才能あるデザイナーを雇いたいのであれば、競争力の低い企業が提示する額に惑わされてはいけません。

・株式資本やその他の報酬が適切に提示されない 

しばしば、スタートアップは、高い株式資本やその他の特典(詳細は後半で)を提供することで、低い給与とのバランスを取っています。給与グラフは、この事情をきちんと考慮に入れていません。SimplyHiredは、大企業と小規模な企業を一緒くたにし、上場企業と株式資本を提供しているスタートアップを同様に表示しています。

問題の本質はなんでしょう?ネットで手に入る概要だけを頼りにしてしまうと、きちんと比べることはできません。

確かな情報を得る簡単な方法

少しの手間で、AngelListとGlassdoorから役立つ情報を集めることができます。私が試した方法は以下のとおりです:

地域を選ぶ: サンフランシスコ
職種を選ぶ: UXデザイナー、UIデザイナー、ビジュアルデザイナーを選択する
Google Venturesの投資先企業と同規模の中小企業を選択する。デザイン会社、資本規模の小さいスタートアップ、Facebook, Salesforce, Adobeなどの大企業は除外
スプレッドシートに、それぞれの企業の給与をコピーしていきます。
比較のために、フルスタックエンジニアで同様のことをします。

この方法によって、業界で耳にしている事例に一致するデータを得ることができました。

2014年のサンフランシスコの状況

サンフランシスコの同規模のスタートアップの給与情報を比較してみると、いくつか傾向がはっきりしました。

デザインスキルによって給与の差がある

同じ年数の経験を積んだデザイナーであっても、UXデザイン、UIデザイン、ビジュアルデザインによって給与に違いがありました。以下がサンフランシスコの典型的な給与です:

・シニアUXデザイナー:100,000-150,000ドル
・シニアUIデザイナー:90,000-140,000ドル
・シニアビジュアルデザイナー:85,000-130,000ドル

(シニアデザイナーは、ざっくり5−7年の実務経験のある人を指します。)

※サンフランシスコと東京の家賃相場比較
サンフランシスコの1LDK家賃相場 平均$3500/月
東京都新宿区の1LDKの家賃相場 平均17.31万円/月
参照元:
地獄のサンフランシスコ – 講演のスライドと動画

トップのスタートアップ企業は、大企業と同じくらいの給与

驚くべきことに、サンフランシスコの有名な大企業のデザイナーの給与は、スタートアップと同じくらいの額でした。大企業の給与には、年金制度、ボーナスや株など現金と同等のものが含まれていますが、スタートアップの株式資本は今後更に価値を上げる可能性があります。大企業とスタートアップ間の給与が同額であるということは、サンフランシスコでのデザイナー雇用が競争下にあるということを表しています。

デザイナーの給与はエンジニアの給与と同額(もしくはちょっと低い)

他にも、興味深い情報なのですが、2014年、サンフランシスコの多くのスタートアップはシニアUXデザイナーに対して、シニアエンジニアの給与より10%低い額を支払っています。私が調べたスタートアップのおよそ半分は、デザイナーとエンジニアに同額の報酬を与えています。

これは偏見かもしれませんが、賢い起業家は、デザイナーとエンジニアに対する給与を同額にし、デザイナーにそのことをきちんと説明しているのでしょう。デザイナーは割の良い給与に感謝するだけでなく、企業がエンジニアリングと同じくらいデザインを重要視していることに対しても感謝するでしょう。

しかし、これはサンフランシスコに限った情報です。アメリカの他の大都市も同じ傾向にあるかもしれませんが、読者の皆様はご自分の地域を調べてみてください。

そんなに払えません・・・どうしましょう?

「全てのスタートアップがこの額を払えるわけがない!」と、おそらく上記の給与データを驚きながら読んでいる方もいらっしゃると思います。立ち上げたばかりのスタートアップは、最初に雇用するデザイナーに150,000ドルの給与を提示する前によく考えたいですよね。才能あるデザイナーを惹きつける方法は他にあるでしょうか?

株式は強力な武器です

スタートアップを立ち上げた初期は、株式が大企業と競合する確かな方法となります。初期段階の価格の株式資本のそれなりの配当で、低い給与の埋め合わせができます。

私は、割と経験を積んだデザイナーに以下の二つの選択肢を提示します:

・A企業:高額の報酬と低い株式
・B企業:低い報酬だけど株式が多い

才能ある人は、常に株式を選び、より多くの株を持つことに価値を置きます。

覚えておいていただきたいのが、デザイナーの多くは、株による報酬の額や可能性を計算する方法を知りません。権利行使価額や、発行済株式数、オプションかグラントか、などを理解することは簡単ではありません。ビジネスの初期段階では多くのリスクがあるけれど、すでに40兆の利益を上げている企業に勤めるより、多くの可能性があることを時間をかけてでも説明しましょう。

メンターシップと文化は重要です

デザイナーは、報酬以上のものに惹かれます。メンターシップによりデザイナーとして成長する機会を提供できます。すでに力のあるデザイナーを雇っている場合、その人がメンターとなり成長できる機会があるということを新たな才能あるデザイナーにアピールしましょう。同様に、あなたの企業に素晴らしいデザインの文化があると思う場合(もしくはそのような文化を築きたい場合)、それを明確にアピールしていきましょう。デザインにふさわしい土壌がある企業は、他の企業よりも魅力的にうつります。

大きな挑戦を設定する

デザイナーは挑戦に燃えます。あなたの企業が目指すユニークなデザイン的挑戦や、どのようにあなたのビジネスが世界を良くしているのかを具体的に説明し、デザイナーをミッションに引き込みましょう。

ひねった特典を提示する

驚いたことに、デザイナーを惹きつけるために、クリエイティブな特典を提供しているスタートアップ企業はほとんどありません。小さな「人参」で、競争率の高い中、デザイナーを確保できます。

・引っ越し費用をもつ

アメリカの大都市の郊外に住むデザイナーは、あなたの企業がある都市に引っ越すことをためらっている場合があります。引っ越し代を持つことで、雇用をスムーズにしましょう。数千ドルで、地方から出ることを全く考えたことのない一流デザイナーを惹きつけることができるかもしれません。

・ボーナスの約束をする

トップレベルの才能ある人間はボーナスを考慮します。一定期間(例えば一年間)の雇用は必要ですが、あなたが長期の雇用に真剣であるという強い意思表示になります。

・ハードウェアを経費で購入

私が共に働いたことのある企業では、毎月デザインチームのメンバーそれぞれにハードウェアを経費で購入できる制度がありました。デザイナーは一月250ドルでどんなデバイスでも購入できます。たとえば、Nestのサーモスタット、Fitbit、GoProなどあらゆるガジェットを購入している社員がいましたね。素晴らしい制度です!デザイナー一人につき年間たったの3000ドルをかけることで、チームのみんなが喜ぶ特典制度ができました。(勉強にもなりますしね!)

・ユニークなインセンティブ

その他にも、デザイナーに提供できる面白いインセンティブは沢山あります。たとえば、地域のアートギャラリーのメンバーシップ、年に一度世界のどこかの会議に送り出したり、Uber用に月に200ドルを提供するなど。そう大きくはない出費によって、デザイナーが次なる舞台を選んでいる時に、あなたの企業を他から際立つ存在にできます。

デザイナーを雇用することは簡単なことではありません。2014年、どの企業もデザイナー雇用に勤しんでいて、人材確保が数年前よりも一段と難しくなりました。わずか数時間であなたの地域の給与情報を分析できます。

分析した結果をもとに、その地域で、あなたの企業が競争力のある給与を提示していることを確認してください。株式資本による報酬で可能性を高め、ユニークな挑戦を設定したり、ひねったインセンティブも追加してみましょう。あなたの企業に更なる成功への切符を与える才能溢れたデザイナーを雇うことができるかもしれません。

質問やコメント、もしくはあなたの経験をシェアしたい方は、@gvdesignteam もしくは @dburka にツイートしてください。

翻訳元:How top startups pay designers
著者:DANIEL BURKA
翻訳:Kanako Baba

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