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成長に必要な機会をどうつくる?rootに根付く全員で学習環境をデザインする文化

デザイナーにとって理想の学習のあり方とはどのようなものでしょうか。また、持続的に成長するための環境とはどのようなものが考えられるでしょうか。

rootでは、デザイナーの学習や成長のために、年次や経験などの区別なく、お互いが教える側にも学ぶ側にもなるような形で学習が進む環境、関係を理想としています。

今回は、こうしたrootの考えを体現している活動のひとつであるデザイナーの育成プログラムについて紹介しながら、デザイナーの育成環境をいかに作っていくかを考えてみたいと思います。

デザイナーが育つために必要な「実務」を経験できるフィールドがない

どんな職種でも成長するためには「実務経験」が欠かせません。中でもデザイナーは実務経験が強く求められる職種でありながら、若手を育成する機会が創出されにくい職種でもあります。

「実務経験」には、技術力だけでなく対話力、つまり、相手の求めることを読み取り技術に落とし込むためのコミュニケーション能力も含まれています。技術は自力で磨けても、対話は相手を伴うものなので、やはりどうしても一人で訓練するには限界があります。

対話を重ねる実務経験を積んでいないと、どれだけ素晴らしいUIをデザインできたとしても、現場でクライアントやユーザーが求めるデザインを実現できません。UIをトレースして、いくらポートフォリオを作ったとしても、それだけでは実務で求められる要件は越えられないのです。

実務経験を積む環境があまりにも少ないこと。これは若手デザイナーが成長していくための大きな課題でした。

rootが重視する、自らの経験を体系化し、人に伝達する機会の創出

若手デザイナーが成長するための環境が限定されている。これにはrootも課題意識がありました。デザイナー志望者の多くが、学習意欲が高く、努力もしています。ですが、実務を経験する機会がないためデザイナーとしてのキャリアのスタートラインにすら立てていない現状。

もっと実務に近い経験が積めたり、自学自習だけど独りよがりにならないようメンタリングが受けられたり、若手デザイナーに成長機会を提供する場を世の中につくれないか。こうした課題に対して社内で議論していた際、教育プログラムをつくったらいいんじゃないかという声がメンバーから挙がりました。

こうした声は、なにも業界への貢献意識だけで生まれたわけではありません。デザイナーは自らの経験を体系化し、人に伝達することで成長します。rootにはその考えが根付いていて、「教える」経験は教える側の成長にもつながる、したがって、オンラインスクールの運営を通じてrootのデザイナーの能力も底上げできると考えました。

これまでにも、代表が担っていた「デジタルハリウッド」の講師の役割をrootの別のメンバーが引き継ぐなど、「教える」機会を作り出すことによる学習を積極的に取り入れてきました。今回、オンラインスクールをやろうという話が出た後、社内でスムーズに実現していった背景には、こうした文化があります。

「実務」を想定したデザイナーの育成プログラム

このプログラムでは、「実務」を組み込んでいます。基本的なデザインプロセスに関する座学やワークを行った後、実際に現場でのデザインも経験します。

実務を経験してもらう際に私たちが特に意識しているのは「クライアントと対話しながらデザインすることの経験」です。実践において、アウトプットがデザイナーの独りよがりにならないようプログラムの設計に気をつけています。

日々、一人黙々とトレースしていると、あくまでも自分の想定する範囲内でのデザインであるという前提を忘れてしまい、どうしてもリアルなユーザーを想定したデザインとはズレが生じてしまいます。

これでは、つくる技術が身につくだけで、コミュニケーションを通して相手から要件を引き出す、相手が大事にしていることを読み取って表現するなど、実際の業務で最も重要な部分の訓練にはなりません。

このプログラムではズレを埋めるべく、基本的には受講生自身で課題やユーザー像を設定してもらい、メンターにあたる社員はそれに対して問いを投げかけ、受講生自ら視点や切り口を変えながら、より深く考えられるようにしています。

実務未経験だった私がデザインの現場で気づいた、独学で学べなかった3つの視点

成長するのは教わる側だけに限らない。教える経験によって見えてきたこと

実際に、このプログラムで教える立場を経験したメンバーに感想を聞いてみると、それぞれの状況における教え方の工夫が分かり、「教えること」と「自分が成長すること」がいかにつながるのかが見えてきました。

まず、実務と並行してアルバイトとして働く受講生の育成まで行うことに限界を感じていたデザイナーのケース。受講生の成長につながっただけでなく、教える側の学び直し、業務効率の改善に加えて、やりがいを感じられるというメリットもありました。

例えば、講座用の資料作成の際、参考書籍を改めて読み込み、忘れていた技法の復習にもなったそうです。資料作成を通じて、自身の暗黙知を言語化して、再現性を持ったデザインを意識できるようになりました。

また、講座用に作成した資料は実務にも転用。受講生へのデザイン修正の指示出しや、アウトプットイメージをすり合わせる際の効率化を図ることにもつながりました。教える側の視点を持つようになったことで、受講生のちょっとした成長にもよく気がつくように。教えることへのやりがいも感じられるようになり、業務中に達成感を覚える場面も増えたようです。

他には、「OOUI」についてメンターと受講生が一緒に探究していくケースも。受講生がOOUIに関心があり、本に掲載されているワークアウトを実施してもらい、メンターがレビューしていきました。

このケースでは受講生がOOUIに対する基礎知識を持っていたため、資料をまとめて講義的にするよりも、一緒にUIを作りながら疑問を尋ねてもらう形式のほうが学びが深まるのではという考えからディスカッション形式になりました。

OOUI自体が抽象的な概念でもあり、実践において正解が1つではありません。そのため、教える側にとっても受講生とのディスカッションの中で発見があったそうです。また、受講生からの「素朴な疑問」がメンターにとっても思考のきっかけとなりました。

知識を実務で活かすだけであれば、概念の理解は70%ほどでもそれなりの成果を得ることができます。。ですが、人に説明するためには概念や理論をより深く理解しておかなければなりません。素朴な疑問に答え、説明のために理解を深めるなかで、その理論の提唱者がめざしていた「理想像」をも考える機会になり、実務における理論の活用も深いレベルに到達しました。

事業成長のためには一人ひとりの成長が不可欠

rootでは、学んだ知識を自分で形にし、人に説明できる状態にまで昇華させること。「なぜ」「どうやって」つくるのかまで意識したデザインを目指しています。

所属する組織によって独自性はあっても、学習意欲の高い人々が集まる環境自体は珍しいものではなくなってきています。rootは、自分と一緒に働く仲間がいかに成長していけるかを常に考え、新しいやり方をどんどん試していきたいという気持ちを全員が持っている、そんなチームです。

事業成長に伴走していくためには、事業に関わる一人ひとりの成長が不可欠です。rootは、今後も「経験年数に関わらない相互的な学習」が促進される環境づくりに力を入れていきます。

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