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root Design Meetup Vol.8 事業と共に成長するデザイン実践のかたち〜DPMモデルとケーススタディ〜

こんにちは!root採用広報担当です。

rootは「Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜」をVisionに、事業の成長によりそい、デザインを実践しようとする人々を支え、世界をより良く前進させていくことを目指すデザイン会社です。

先日開催された日本最大級のデザインカンファレンス「Designship 2023」のアフターイベントとして、イベントでは語り切ることができなかった、これまでの具体的な取り組みについて、事業の成長フェーズにおける事業課題をテーマにしたイベント「root Design Meetup vol.8」を開催しました。今回はその模様をお伝えします!


今回開催した「root Design Meetup」について

「root Design Meetup」は、rootの支援モデルの現状と未来等、rootの強みや戦略を知ってもらう「場」づくりをすることで、デザインをあつかう皆さまと、語り合い、長期的な「つながり」をつくっていきたいと考えています。

第8回目となる今回は、先日開催された「Designship 2023」のセッションでは語りきることのできなかった「事業の成長フェーズにおける事業課題」がテーマになっています。
デザインプログラムマネージャー(DPM)やデザインマネージャーのはたらき方、スタートアップでのはたらき方に興味があるリードデザイナー、組織づくりの課題を解決する方法を模索しているマネージャーのデザイナーなど参加者が集まりました!

イベント当日の様子

イベント当日は「事業と共に成長するデザイン実践のかたち〜DPMモデルとケーススタディ〜」と題して、事業成長に合わせたデザイン環境の構築と、組織的にデザイン実践の推進を目指すrootのDPM支援モデルの実態や、事業フェーズごとの取り組みをご紹介しました。

ケーススタディでは事業フェーズごとのクライアントとの共創について、rootのメンバーから発表。デザインプログラムマネージャー(DPM)の山野、岸、村越から、それぞれが担当している事例をもとに、DPMとして大事にしている価値観について発表しました。

ーー1. モノづくりを進めて行く中で大事にしていること

まずは、山野から「モノづくりを進めて行く中で大事にしていること」をテーマに、メガベンチャー新規事業の事例をもとに、説明していきました。

山野:デザインよりも前に大事にすべきことは、一緒にはたらく人やステークホルダー、そして事業を理解するということです。関係の質を高めることを意識しています
具体的に山野がやっているのはプロセスの開示。例えば今何に悩んでいるのか、今日はどんなことをやっているのかを常々Slackに投稿している、と言います。

山野:僕はデザイナーとして、欲しいと思う前に与えられることが大事だと思っているのですが、人を知って事業のことを理解しておくと、それが実現できる。デザインに入る前に人を知る、事業を知ることが何より大事になるかなと思います。

また、過去にはrootが支援しているプロジェクトでは山野が入った際、何をすればいいのかわからず、どのターゲットに刺せばいいのかも分かっていなかったため、2〜3カ月ほどプロジェクトが動かない状態だったことも。

山野:一応、ペルソナはあったのですが、ペルソナは決して一人だけではない。顧客となる企業のステージや規模も違うし、向き合う人も違う。どこが一番ボリュームゾーンなのか。顧客のリストを全部もらい、そこから軸を決めてセグメント化していきました。

その結果、プロダクトマネージャーがプロダクトではなく、その手前の導線部分である「LPから入ったとこから開発しましょう」と意思決定してくれたそうです。

山野:その意思決定が一番大きくて。漫然とプロダクトをつくるのではなく、いま本当にやるべきはここだ、というのが具体的にわかった、と言ってもらえました。つくると決まったから、それをやるというのは多いと思いますが、本当にそれは伸びるのかどうか。これはデザイナーとして知っておかなければいけないポイントだと思います。

ーー2. 大規模組織のデザイン部門と各事業部の成長支援

山野に続いて、岸より「大規模組織のデザイン部門と各事業部の成長支援」をテーマに、rootが支援している大手情報通信企業のデザイン横断組織の立ち上げについて発表がありました。

もともと、新規事業の立ち上げがひとつのプロジェクトとして発生。それが複数の事業に発展していく中で、デザインシステムの構築やプロセスの仕組み化が走り、それを軸として横断組織の必要性が喚起されていく流れでデザイン横断組織が立ち上がっていきました。

岸:横断組織が出来上がったときに、気をつけるべきは“横断すること”を目的化しないことです。プロセスや型を見つけて他のプロジェクトにも転用していくとなったときに、プロジェクトごとの条件の違いなどを考えずに押し付ける形になったり、成功体験をそのまま適用してしまったりする。それでは横断組織の価値が無に帰してしまうかもしれません。

その根本的な原因について、岸は「ちゃんと評価できていないことが問題」だと話しました。事業側からデザインを評価するのは難しく、デザイナー側から事業にどれだけ貢献したかを言うのも難しいため、評価ができずにいる。だからこそ、岸は「主語をデザインではなく事業にする。これが横断組織が上手くいくための前提になる」と言います。

岸:デザインで何ができるかを一緒に探索し、悩むプロセスを経ているかどうかも大事になります。悩んでできあがったものを、ちゃんと目標として立てる。これができていないと、何が事業貢献か曖昧になってしまう。また、デザイナーだけでなく、多様なメンバーと多様な関わり方ができる環境を残すのも重要になります。

ーー3. 変化し続ける組織にどうデザインの力を入れていくか

最後は、村越から、スタートアップの支援をもとに、「変化し続ける組織にどうデザインの力を入れていくか」について発表。

rootは創業直後から支援しており、ようやくPMF(プロダクト・マーケット・フィット)フェーズまで成長を遂げてきました。スタートアップはさまざまな変化が起こるものですが、村越は「スタートアップの組織変化のモデルには一定の型がある」と言います。

村越:例えば、スタートアップは一度、資金調達をすると規模の拡大は避けられません。そこで起きるのは30人の壁、50人の壁という組織が拡大していくことによる変化の壁です。いくら組織における変化の壁を防ごうとしても、この問題には必ずぶつかる。避けようとしてもぶつかるので、必ず訪れる予測可能な定数に近い変数だと個人的には思っています。事業の成長、プロダクトの成長、組織の拡大などによって起こる組織課題は結局のところ、コミュニケーションの問題に収斂すると考えています。フェーズごとに併せたコミュニケーション課題の構造をひも解き、歯車の噛み合わせをよくすることで、事業が成長し生産性も上がっていく。このケースではそういったところを中心に支援を行っています。

村越:組織の成長に伴って起こるコミュニケーション課題といった予測可能な変化には先手をうち、問題が起こってから対処するのではなく、来るべき問題に対して対応できる対応力を組織として身につけておくことで、課題が起こった時に問題の対処に組織的なリソースの大半を投下しなければならない状況を避け、不確実性の高い部分に組織のリソースを最大限投下できる状況を作ることで、プロダクト開発に集中できる環境を整えるべきだと考えます。

村越:支援しているスタートアップでは四半期ごとのプロダクトロードマップや事業の戦略についても共有されています。そのため、半年後にあるべき組織規模や事業・プロダクトの状態はある程度試算でき、先に課題を潰しておくこともできる。その結果、生じるはずだった壁にぶち当たったときの非効率なコミュニケーションをしなくて済むため、不確実な部分にリソースを最大限投下できるようになります。

村越:不確実な部分とは、「事業成長に関する活動」のことです。例えば、仮説検証のスピードを高める、機能改善のリリース回数を増やすなど、手数を打って市場にプロダクトを出していく活動の中から次の事業のタネ、良さそうな勝ち筋が見えてきて、それがプロダクトを成長させるきっかけになる。打席に立つ回数を増やして、不確実性を下げていくことに最大限リソースを投下してほしいなと個人的には思っています。

ケーススタディの後は、モデレーターを西村とし、「rootの支援モデルとその先の可能性」と題したパネルディスカッションを実施。
rootのDPMモデルの現状の説明から始まり、事業フェーズを横断できることで実現できる、デザイナーのキャリア形成の利点や今後の組織拡大で目指す支援体系のあり方といった内容についてお話ししました。

左から西村、山野、村越、岸

rootは、多くの企業でデザイン組織を立ち上げたものの、事業部や非デザイナーと接続するといった部分まで実現できていないため、その支援としてDPMモデルを推進しています。そのポイントとして、若い段階からの組織に積極的にアプローチするようにしています。

村越:若い段階から入る一番のメリットは、可能性に満ちているということです。組織のカルチャーもこれから作れるし、いろんな成長のモメンタムをつくっていける。起爆剤となる発射台を整えていく段階です。そこから発射したときにスピード、高さをどれだけ上げられるかの設定もできる。若い段階の組織であれば正しいものを正しくつくるカルチャーをイチから積み上げて一緒につくっていける余地が多分にあります。

若い段階の組織を支援していくために、rootでは社内のナレッジマネジメントにも力を入れています。

岸:1つの取り組み例が、1週間ごとに“週間アウトプット”と題して学んだことを共有し合う会です。プロジェクトは関係なしに、いろんな人がいろんな場所で経験したこと、これから挑戦しようとしていることを共有しあっています。長いこと形を変えながらやっているのですが、今はどんなことに挑戦しようとしているのか、挑戦した結果それがどうなったかを確認するような形で進めています。

西村:やっていることや経験したことは頭の中にあるので可視化されないんですよね。そのため、言語化がまず最初の1歩になります。rootは昔、いきなりフレームワーク化し、すぐ使えるノウハウを出しましょうということをやっていたのですが、これは上手くいかないことがわかりました。そんな簡単にまとめられないし、言語化できない。
そこで、できるだけ書く習慣というものを週次の小さいサイクルの中でまわしていくことにしました。これを少しずつ使えるネタに昇華していくようにアップデートをかけています。最近ではチャレンジしているものを記録する、達成できて成果になったものという2つを記録するようにしています。ここで出てきたものをデータベース化するので検索もでき、カテゴライズ化もされています。会社の中で迷ったり、困ったりすることがあったときにデータベースを検索できる。そのネタを解決できた人が誰なのかも記録されているので、その人にたどり着けます。直接的にノウハウを知りたい場合は、解決してる人、知ってる人にたどり着き、コミュニケーションすることでノウハウを交換しています。

テーマは少し変わり、rootでのキャリアについて。rootでは事業フェーズを横断できることも特徴として挙げていますが、これにはどのような利点があるのでしょうか?

山野:色々なことを経験できるのは良いと思います。利点としては『再現性』と言われるのですが、再現性は失敗の方が大事。失敗はモチベーションの科学と似ていると思っていて、上げるのは難しいけど、下げない要因は掴みやすい。事業フェーズごとに経験し、失敗しないためのナレッジを固めた上で数少ないチャンスをものにする。その考えが身につくという意味でも、色々経験できるのは良いなと思っています

セッションの最後には、DPMモデルの今後について村越が自身の考えを述べました。DPMモデルには、どのような可能性があるのでしょうか?

村越:僕がrootで、一番可能性を感じているのは、地続きで事業フェーズを跨いで支援をでき、なおかつ変化成長の分岐点におけるナレッジが蓄積できる組織環境であることです。現状、さまざまな事業フェーズの企業を支援するという「広い面」をとっていくことはできつつありますが、支援の深さと深く支援した内容をナレッジとして体系化していくのが次のチャレンジになると思います。
スタートアップの場合、プロダクトや組織が成長するためのメカニズムは確実に存在しているのですが、メカニズムを見つけにいく活動に不確実性を伴うので、仮説検証をスピーディーにやらなければいけない。そういった点で課題を見極める力、勘所の掴み方も含めた事業成長のメカニズムを理解し、組織として知識を体系化できれば、組織を成長するメカニズムを持っている会社になれます。それを解き明かしているデザイン会社は日本にないし、世界的に見ても珍しい。そこも含めて大きなポテンシャルがあると感じています。

懇親会の様子

ケーススタディとパネルディスカッションが終わった後は、参加者同士の交流を図るべく懇親会を開催。飲み物を片手に話し合うことで、デザイナー同士の“横のつながり”もたくさん生まれました。

登壇で話された「事業側からデザインを評価するのは難しい」というトピックに共感し、デザイナーは何ができるのか、他の職種からすると想像がつきにくい、そのような状況の中で何にTRYしているか共有し盛り上がったり、「組織課題は結局のところ、コミュニケーションに収斂していく」という話でも盛り上がっていました。

また、「予測して先手を打っていく」という登壇内容に関して、難しいがTRYする価値が高い、予測できるようにチームとして学習していきたいといった声も多くありました。

今後新しいイベントを共催したい、という話をしているメンバーもいたりと、あらためて、事業の成長に様々な役割からデザイン実践している方々とのつながりは様々な実りがあると感じた1日となりました。

こうして今回もおかげさまで、社外のデザイナーの皆さんとの交流ができた root Design Meetup!様々なノウハウや情報交換をすることができ、今後のつながりもおおきくなりました。
ぜひ、次回の「root Design Meetup」の開催もお楽しみに!

rootでは共にビジョン実現できる仲間を探しています!

私たちは、「Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜」をVisionに、事業の成長によりそい、デザインを実践しようとする人々を支え、世界をより良く前進させていくことを目指しています。

共に、クライアントと事業の本質(芯)を見いだしながら、事業本来の価値をユーザーに届け、デザインの根源的な力を個から組織・事業へと広げることで、世界をより良く前進させていきたいという方!
ぜひ一度カジュアルにお話ししませんか?ご連絡お待ちしています!


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