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デザインファームだからこそ実現できる、スタートアップとの伴走と挑戦 ー事業フェーズ別の取り組み方ー

こんにちは!root採用広報担当です。

rootは「Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜」をVisionに、事業の成長によりそい、デザインを実践しようとする人々を支え、世界をより良く前進させていくことを目指すデザインファームです。

今回は、toB領域・大企業のプロジェクトを中心にサービス立ち上げ・改善に携わるデザインプログラムマネージャー(DPM)の岸 良平がCEOの西村と対談。rootのクライアントワークの支援体制を踏まえながら、スタートアップのフェーズ別の伴走支援のあり方、フェーズごとに求められる支援の内容などを語り合いました。

岸 良平(きし りょうへい)
rootのデザインプログラムマネージャー。HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト。九州大学工学部建築学科を卒業後、和歌山のデザイン事務所に入社。グラフィック・Webサイトのディレクションから実装までの全工程を担当。2019年rootに入社。デザインプログラムマネージャーとして、toB領域・大企業のプロジェクトを中心にサービス立ち上げと改善に携わる。個々の事業や組織に向き合いながら、デザインの組織的な実践を通して、つくる人、つかう人それぞれの幸せを実現することを目指している。

西村 和則(にしむら かずのり)
rootのCEO。1985年生まれ。高知県出身。デジタルハリウッド卒業後、Webデザイナーとしてキャリアを歩む。 独立後、サービス開発に特化したデザインコンサルティングファームとして root を創業。 これまで数多くのスタートアップ立ち上げ、新規事業の成長支援をデザイナーとして支援。創業期を支援したスタートアップとしてD2CブランドのFABRIC TOKYO 、動画クラウドソーシングのCrevoなど実績を持つ。現在、Design Doing for Moreをビジョンに、組織におけるデザイン活動を個人から組織・事業へ広げクライアント組織の企業価値やユーザー体験を高めるためのデザイン・組織支援を行なっている。


1人2プロジェクト・DPMのアサイン。rootにおけるクライアントワークの支援のあり方

:rootのクライアントワークでは、1人が2つのプロジェクトを担当することを基本としているかと思いますが、これはどのような狙いがありますか?

西村:狙いは大きく2つあります。1つは比較軸を持って経験を積んでいくことを担保するためです。もう1つは、まだ完全に確立できているわけではないですが、それぞれのプロジェクトをハーフコミットにすることで足りないリソースを2人で補うという、ペアデザインの構造をつくっていきたいと考えているためです。ノウハウや経験の伝達はプロジェクトを一緒に取り組む方が圧倒的に得られるものが多いので、そのためにも、1人をフルコミットでアサインする考え方ではなくて、あくまでもハーフコミットを前提にしています。

もちろんスピードが落ちる部分はありますが、ノウハウや経験が属人化しないことが大切で、結果的にノウハウや経験の伝達を行えたり、rootが抱えているナレッジをクライアント組織へインストールしやすくなるんです。そのため、1人2プロジェクトを基本としています。

:そうですね。ノウハウや経験の伝達に関しては、デザインの業界の中でも普遍的かつ重要な問題になっている気がします。その点において、rootは経験の幅と質のバランスを担保する形になってるのかなと個人的には思っています。rootの特徴のひとつにDPMがあるかと思いますが、DPMのアサインについてはいかがですか?

西村:「DPM」という概念自体が、まだ多くの人に認知されてるものではありません。そのためどこまでやるのか、どういう役割で入るのかの期待値がクライアントによって、バラバラな部分があるなと感じています。

ただ、実態としてはデザインプロセスの概念は確実に存在していて。デザインプロセスがどのように作用しているかに気づけている、気づけていないの差はあるにしても、少なくとも顧客起点で事業を推進するには、影響を及ぼすものだという認識にはなっています。これをどう組織の中で変容させていくかの観点で考えたときに、DPMは組織におけるデザイン活動のチューニング役です。DPMは組織にデザインを浸透させていく役割を担うものなので、そのための活動を行っているというイメージです。

:デザインプロセスの補足として、デザインにもさまざまなレイヤーがあり、デザイナー個人のプロセスの善し悪しはあると思うんですけど、それ以上にチーム全体でデザインプロセスを実践できているかどうかに、大きな価値があるのかなと思っています。

西村:そうですね。DPMから見たときにデザイナー個人のプロセスは表層的なものです。その奥側にある組織、ファウンダー自身の考え、カルチャーに定着してる習慣・価値観のような目に見えないけれど固定化されてるものをどう変容させられるか。そこで手を入れていくことがDPMの役割だと思います。目に見えない仕組みをつくり、それを組織の中に浸透させる。

西村:rootとしては単純にメンバーを派遣するわけではなく、いかにリソース要因にならないかが重要だと思っています。当然クライアントは私たちに発注してくださっているわけですが、ある意味その関係性を壊しにいくこと。共創を実現していくためには、パートナーとして「伴走する」ことが必要であり、共にGOALやビジョン、ユーザーに向き合っていくことは必須です。そのために、遠慮をしてはいけない。それがクライアントへの価値提供であり、共創だと考えます。それを実現するためのチームビルディング、こちらから自己開示をしていく姿勢などを意識しながら一緒に取り組んでいくことが重要なのかなと思っています。

立ち上げ期からアプローチする、rootのクライアントワークの原点

:ここからは、rootのデザイナーが経験できる様々な事業フェーズのプロジェクトについてお話しができればと思います。デザイナーのキャリアにおいて、様々なフェーズのプロジェクトを経験したことが将来的にレバレッジが効いてくる部分だと思うのですが、その点についてはいかがですか?

西村:はい、フェーズの経験もそうですし、立ち上げ期を経験しておくことで結果的に事業の全体像が見えるようになると思います。事業そのものがどういう構造で成り立っているかもそうですし、プロダクト全体を俯瞰して何に対してデザインを作用させるのかを判断できる力が形成されていきます。プロダクトがグロースしていく中でBizDevやエンジニアたちと同じ目線に立って物事を捉える、意見を提言するというアクションを取れるのかがデザイナーに求められているし、上流工程からやる意義はそこにあると思います。

:rootは様々なフェーズの企業の支援をしていますが、フェーズ別で伴走支援の体制に何か違いはあるのでしょうか?

西村:クライアントの組織規模の大小はあんまり関係ないと思っています。どうアプローチするかで考えたときに、基本的にrootは小さいものからアプローチするということを鉄則としています。大きいものを大きく動かそうとするほど、変えるのが難しくなりますし、そんな簡単に変容させられません。

基本的にはスタートアップもそうですし、大手企業でも新規事業や小さなデザイン活動から入ることが重要だと考えています。小さいチームの中で、どうデザインを作用させられるか。成功体験によってひとつの型をつくり、それを展開していくということに取り組んでいます。

:root側の視点での言葉になってしまいますが、デザインの浸透度合のような考え方で捉えるのが、実態に近いのではないかという話を一度したことがありますよね。

西村:ですねー。rootがやってるのは手段としてのデザインではなく、「デザインをどう扱うか」という視点を組織の中にどれぐらい浸透できているか。その浸透度合いを、組織単位でどうやって広げていけるか?に取り組んでいます。

立ち上げ期の事業における市場性や、不確実性が高い状況の中では、当然100%成功させられるわけではありません。ですが、少なくともデザインを浸透させていく活動の中に、学習サイクルが導入されると、その流れの中で顧客のインサイトやフィードバックなどを高い解像度でつかむための因子は抑えられるようになると捉えています。その因子を組織の中で循環させるためのサイクル構築に取り組めているのかなと思います。

別にデザインを使わなくても成功する事業もあるわけです。事業を大きくするだけだったらそれも可能です。ただ本質的に顧客・ユーザーとどう向き合っていくのか、を考えて事業を作ろうとしている企業にとっては、僕たちがやっているアプローチはひとつの強い武器になると思っていますし、そういう考え方で事業を作っているお客さんを支えたい思いがあります。

3つのフェーズ別における、rootの伴走体制の特徴と違い

:支援のフェーズとしては、具体的にどういった感じになっていますか?

西村:rootの支援のフェーズは主に事業立ち上げとPSF(プロダクト・ソリューション・フィット)/PMF(プロダクト・マーケット・フィット)、グロース、デザイン組織開発の4つに分けられます。
もともとrootの創業期にやっていたのは、スタートアップの立ち上げ支援です。いくつかのスタートアップの立ち上げを支援する中で、ニーズ検証ができ、プロダクトが拡大していく過程では同じような課題が起きやすいなと感じていました。

そこに対して一定の打ち手を見つけることができれば、課題を解消でき、なおかつ再現性のある施策にもなる。これを事業フェーズと呼ぶようになったのが始まりだと思います。

事業立ち上げフェーズは「作ったら売れるわけではない」という前提があり、どこに答えがあるかもわからない前提のもとに物事を進めなければいけないので、仮説として持ってるもの、ビジョンとして持ってるものを具体化してはダメなんですよね。仮説やビジョンをシャープに絞り込み、最初の一手をコアな体験に落とし込んでいけるかが問われているので、早く小さく、刻む感じです。それをやっていかなければいけません。

:あとは再現できることは、このフェーズでやらない方がいいですよね。

西村:事業立ち上げフェーズは属人的に、熱量を持った人たちの理想に向き合って研磨する戦いなので、人数はできるだけ少ない方がいいし、その中でどうやってコアと言われるものを見いだしていけるか。ここに関しては実際に形にして作りながら見つけるしか方法はないので、早く叩いて磨いていくことをやれるデザイナーが求められています。

あとは世界観の理解ができているかどうかも大事だと思います。各社実現しようとしている世界、ビジョンがあるんですけど、その中で実現しようとしていることの価値観や判断基準が必ずあるんですよね。それを実現していく中で何を大事にするのか、何をダメだと思っているのか。バリューは明確に言語化されてないことがほとんどなので、一緒に進めていく中でチーム内でけっこうズレてくるんですよね。そういったものを解像度高く具現化できたり、言語ができたり、すり合わせたりしていくことで、プロダクトのコアは見えてくるのかなと思っています。それを形にできるのがデザイナーの強みでもあるし、事業立ち上げフェーズはそういったことをできる人がいないと、うまくまとまっていきません。

:デザイナーの関わり方としては、作ったものを通してちゃんと議論できているか、作ったものをどれだけ媒介にできるかは結構重要な視点になるなと思っています。

西村:「これを作れば当たる」と思ってやっている時点で、うまくいかないのは明らかですよね。いかに作ったものを使ってもらい、見てもらって、実際にどういう声が上がってきているのか、そこに視点を移していかなければいけないと思います。この視点を創業期に持てているかどうかは、すごく大きいと思います。

:スタートアップであればファウンダーの原体験があるので、あまり問題になるのは聞いたことがないんですけど、大手企業の新規事業の場合はあまりピンと来ていない担当者が入ることが多く、なかなかそういった動きになっていかないことがあります。

西村:大手企業での新規事業の場合はファウンダーがいない状態で事業を立ち上げることが多いので、いかにビジョンのようなものを形成できるかが重要になります。ビジョン形成の解像度を上げていくにあたって、顧客に考えを当てにいく活動を、どれだけ泥臭くやれるかが大事になります。結局は使い手側の課題だったり、悩みだったり。何に対して価値を届けるのかがクリアにならないと、誰に対して何を届けるのかが定まっていきません。

そうした話を踏まえると、事業立ち上げフェーズのゴールというか、節目はソリューションフィットだと思っています。これは売れるか売れないかではなく、顧客のニーズをまずは満たせているのかどうか。その蓋然性を掴めているかが必要だと考えます。

それっぽい「的」を見つけるまでは、いろんなことをやらなければいけません。ただソリューションフィットの「的」を見つけた後に、全部をガラッと変えるのではなく、一部をズラすみたいなことやっている感じがするんですよね。「的」の芯を見つけていくことが、PSFフェーズの取り組みです。

:何をもってPSFしたと言えるかは、肌感みたいな部分もありますよね。

西村:現場では「PSFしました」とは感じていない。確からしさみたいなものが何となく見えている状態の中、少しずつユーザーが増えてきた、という状態になり、どんどん前へ進んでいくことで形になっていくんです。

PMFに関しては、ソリューションが定まってきている状態の中、マーケットをきちんと捉えられているかが大事になってくる。このフェーズであれば、売るのは簡単にできると思いますが、売れるものの規模やスケーラビリティを考えたときに、それで良いのかどうか。そこの見極めが結構難しいのではないかと捉えてます。

:PSFしてからPMFするまでの価値の源泉は顧客のフィードバックにありますよね。

西村:グロースフェーズに関しては、基本的にプロダクトがリリースされているので、指数関数的に事業が伸びていく構造の中、一気に人が増えて拡大していくことが起こります。そうした中、いかにデザインプロセスを作用させられるのかが肝になります。

デザインと事業・組織の接続ができることがrootではたらく魅力

:ここまでの話を踏まえると、さまざまなフェーズの事業成長と連動してデザイナーのキャリアを形成していけるのがrootの良さだと思います。デザインの経験と事業の接続を深めていく取り組みに向き合えるのは、すごく大きな特徴だと思っています。

西村:事業会社の場合、基本的にフェーズごとで求められる役割・ロールがあり、その中でデザインするかが評価されやすいです。一方、rootの場合は変化していくものに対して追従することが求められるため、状況に応じて、「デザインをどう生かすか」という視点がより強くなっていきます。それを武器にして事業や組織にどう振る舞うのかが問われる。デザインと事業・組織の接続ができるのは大きいと思います。

(左から)CEO西村と岸

:さまざまなフェーズが経験できることを踏まえた上で、最初に話した1人2プロジェクトを基本としたり、DPMを置いたりすることで、これまでデザイナーが1人では出来なかった多様な事業・組織フェーズを経験できる話と、また、デザインから事業へのパスができるということの両方があると思います。

rootの中にいると、この両方を断片的に経験することができる。そうすると、少しずつパズルのピースを埋めるような形で経験でき、「何となくこんな感じではないか」というものが掴めてくる。そういう成長の仕方ができるのは面白い部分だと思います。最後に西村さんがそんなrootに今マッチしそうな人はどんな人かを教えてください!

西村:一通りやりきったなぁ、次のデザイナーとしてのキャリアどうしようかな?と考えている人にはマッチする部分はあるのではないかと思います。rootでは、色々な事業フェーズを経験し、より相対化することでプロジェクト個々の中で再現性を高めた実践が行えること、またその実践から持ち帰った経験をナレッジとして組織へ循環させることでチームや組織レベルでナレッジマネジメントの運用を行うことができる環境であることも大きな魅力です。

:ありがとうございます。自分はいろんな観点から事業とデザインの繋がりを研究したいという人には、rootは魅力的だと思うので、興味ある人はぜひお話ししましょう。

rootでは共にVision実現できる仲間を探しています!

rootでは、Visionである「Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜」の実現のため、デザインの根源的な力をより多くの人々、より多くのものごとへ活用することで、世界をより良く前進させていきたいと考えています。

共に、クライアントと事業の本質(芯)を見いだしながら、事業本来の価値をユーザーに届けたいと思ってくださる方!rootのVision・Mission・Valueに興味のある方は、ぜひ一度カジュアルにお話ししませんか?ご連絡お待ちしています!

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