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rootにおけるクライアントワークの可能性ー事業がポートフォリオとなるデザイン会社ー

こんにちは!root採用広報担当です。

rootは「Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜」をVisionに、事業の成長によりそい、デザインを実践しようとする人々を支え、世界をより良く前進させていくことを目指すデザインファームです。

今回は、医療系スタートアップのUbieにてプロダクトデザイナーとして従事しながら、rootではデザインプログラムマネージャーとして参画し、クライアントワークに取り組む村越がroot CEOの西村と対談。前編に続き、後編ではデザイン組織を企業に導入する際の注意点や希少性が高いデザイナーになるためのキャリアの積み方などについて話を聞きました。

村越 悟(むらこし さとる)
1979年生まれ。これまでにWeb制作会社でのインフォメーションアーキテクト、事業会社でのデザインマネージャー、デザインファームでの執行役員などを経験。クライアントワークから事業会社において幅広い経験を持つ。直近は、外資系コンサルティングファームを経て、医療系スタートアップにてプロダクトデザイナーとして従事。ルートでは、2023年よりデザインプログラムマネージャーとして参画。伴走型のプロジェクト推進スタイルを通して、デザインファームでありながら事業成長のナレッジを溜め込むことができる点に大きな可能性を感じジョインを決める。自身の経験を通じて、デザイナーの役割、可能性を拡張し、日本のあらゆる産業においてデザイナーが活躍できる環境づくりを目指している。

西村 和則(にしむら かずのり)
rootのCEO。1985年生まれ。高知県出身。デジタルハリウッド卒業後、Webデザイナーとしてキャリアを歩む。独立後、サービス開発に特化したデザインコンサルティングファームとして root を創業。これまで数多くのスタートアップ立ち上げ、新規事業の成長支援をデザイナーとして支援。創業期を支援したスタートアップとしてD2CブランドのFABRIC TOKYO、動画クラウドソーシングのCrevoなど実績を持つ。現在、Design Doing for Moreをビジョンに、組織におけるデザイン活動を個人から組織・事業へ広げクライアント組織の企業価値やユーザー体験を高めるためのデザイン・組織支援を行なっている。

(左から)村越 悟とroot CEOの西村和則

デザイン組織の導入・浸透と事業成長の再現性、rootだからこそ出来ること

西村:rootではさまざまなクライアントの支援をしていますが、企業内にデザイン組織を導入するというのはすごく泥臭く、時間がかかるものだと思っています。クライアントの組織のことを理解していなければ、デザイン組織を浸透させていくのは難しい。だからこそ、rootでは環境や人、組織の仕組みなどを知った上で、どうすれば導入・浸透できるのかを時間をかけて伴走しながら支援していくというアプローチを取っています。

支援していく過程で、スタートアップは組織規模が小さいので変化を起こしやすい前提で取り組みますが、組織規模が大きい企業ではまず小さなチームからアプローチしていき、ひとつの成功体験をつくりながら、デザインを組織的に扱う流れを醸成していくアプローチが大事だと思っていますし、そこの再現性はつくれてきていると感じています。

村越:そういった変化を組織内で起こしていくのか、外部の手を借りて外からの刺激を入れることで起こしていくのか、方法はさまざまだと思いますが、組織の中でデザインの力を信じる想いを持った人を一人見つけられれば、そこからデザイン組織を導入・浸透させる輪が生まれていくというのはありますよね。

西村:では、なぜrootはそういった支援をしているのかと言うと、業界内でデザイン組織の導入・浸透に取り組めるデザイナーは経験が豊富なシニアの人たちに限られます。事業会社の中ではすごく属人的な取り組みになってしまっているんです。スタートアップの数も増えていく中で、今のままではデザイン組織を醸成していく再現性がないままですし、デザイナーの数も足りていない状況が変わらない。とはいえ、事業会社の中でデザイン組織の導入・浸透ができるかと言えば、経験する場が限られるので難しいと思うんです。だからこそ、rootはチームを組んで支援していく体制をとることで、再現性を持ってデザイン組織の導入・浸透に取り組めますし、ミドル・ジュニアのデザイナーにも機会を提供することができる。個人的にはそこが大きなポイントになっていると思いますし、経験の場を提供することでデザイナー自身も成長していけるはずです。

デザイン組織の導入・浸透の話と、事業成長の再現性の話は連動している部分があるのではないか、と捉えています。事業の成功確率を上げていくとなった際、組織全体が顧客をどう捉えるかは大事な要素で、それを扱うデザインプロセスをどれだけ回せるかが重要だと思っているんです。僕は、デザインプロセスの実行力、そこから得られる学習量が結果的に事業の成功確率を高める因子になると考えていますが、事業成長の再現性という軸において村越さんはどう思いますか?

村越:事業のフェーズによって変わってくるかなと思っています。立ち上げ期から拡大期においては、まずプロダクト開発においても、組織運営においても、不確実性がとても高い状態の中で取り組んでいかなければなりません。例えば、対象となるマーケットが見えて、そのマーケットに対する課題も分かり、どういった顧客が対象になるか分かっているという3点セットがあれば、必ず成長していくプロダクトを開発できるかといえば、決してそういうわけではありません。対象とするマーケットサイズは適切か、正しい課題とソリューションを顧客に提供できているか、など検証すべき点はいくつもあります。

なので、最初の段階で構築したカスタマージャーニーマップや顧客のペルソナがずっと機能し続けるかといえば、そうではないと思っています。不確実性が高い状態においては、いかにクイックに開発し、リリースし、顧客の反応を見て、仮説を検証できるかが、デザインプロセスにおいては重要ですし、プロダクト開発のプロセスにおいても重要になります。それと並行して、PdM(プロダクトマネージャー)やプロダクトオーナーと連携し、検証からの学びに対して、何が真の課題なのかを把握してフォーカスできるかどうかはすごく大事だと思います。事業、プロダクトが伸びていく兆しはそういった地道なプロセスの積み上げの中から見つかってくるものだと思っていますし、その兆しを適切に掴めれば伸びていくんだな、と言うのは経験則からも感じるところです。

西村:それはすごく分かります。ただ、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)していないような不確実性の高い状態だと、多くの事業会社は“機能で当てにいく”という考え方でプロダクトを開発する傾向が強いと感じています。それは野球で例えると、いきなりホームランを打ちに行こうとするようなことなので、ズレが生じてしまうんですよね。

プロダクト開発のサイクルは「学習のサイクル」である

西村:プロダクト開発のサイクルというのは、結果的には「学習のサイクル」だと思っています。いかに早く開発して世に出し、そこから学習していけるかどうか。その数をたくさん打つことも大事ですし、そこからどんな情報を得たかも大事になります。
個人的な感覚だと、学習を重ねることで、どこに正解があるか分かるというよりかは、ハズレの的は何かが分かり、それを排除していくことに繋がっていくはずです。360度、どっちを向いて進んでいけばいいか分からない状況の中で、進むべき方向はどこなのか。その確率がどんどん上がっていくという感覚です。

村越:プロダクトの成長がビジネスの成長に繋がっていくわけですから、プロダクトを開発する上ではエンジニアもデザイナーもBizDevも一体となり、みんなで学習していくというチーム構成にすべきだと思います。その前提があった上で、より多くの失敗・学習をしていくっていうことなんだと思います。

グロース期を経て、立ち上げ期を経験
一般組織では不可逆的な動きをrootでは実現できる

西村:デザイナーのキャリアという視点で考えたときに、事業会社の中だけでは断片的に経験を積むという状態になりがちだと思っています。そういった点において、rootは一つ事業の立ち上がりから成長の過程までを一気通貫で関われるというのは、すごく大きなポイントだと思っているのですが、村越さんから見ていかがでしょうか。

村越:市場におけるデザイナーの分布でいくと、プロダクトのスケール期を経験していたり、デザイン組織を立ち上げられたり、圧倒的なスキルを持ったりしている人はまだまだ少ない印象です。プロダクトの規模が大きくなればなるほど、市場におけるデザイナーとしての希少性が高くなるので、そこが大きな差別化要素になると思っています。とはいえ、それだけだと先細りしていく感じはあるので、底上げしていきたいという思いはあります。

西村:個人的にはもう少し人材が流動的に動いた方がいいと思っています。いま複業も当たり前になってきていますし、複数の事業を見ていくハードルをもっと下げていいと思っているんです。rootはそのための手段のひとつです。事業会社に所属している人が複業するのも一つの手だと思いますし、異なる事業のフェーズを経験したり、求められるデザインの幅を広げたりするような機会をつくっていった方が、デザイナーとしてはきちんとしたキャリアを積んでいけるのではないかと思います。

村越:今後、rootでもいろんなタイプのプロジェクトが増えていくと思っています。例えば、ゼロイチの立ち上げに関わるプロジェクトもあれば、大きくスケールしていくようなプロダクトに関わるプロジェクトもあるかもしれない。そういう意味では、1人のデザイナーがグロース期のプロジェクトを経験した後に、ゼロイチの立ち上げをやるというパターンもあるでしょうし、その逆も然りです。本来、組織の成長でいくと不可逆的な動きを、rootのクライアントワークの特性上、可逆的にできるのはデザイナーの経験機会でも、rootのポジショニングという意味でもユニークだと思います。
事業、プロダクトの成長やスケールは、実はフェーズの区切りはそこまで明確に分かれていなくて、気がついたら変わっているみたいなことが多くあります。立ち上げ期だと思ってやっていたものが、気がつくとフェーズが変わっている。立ち止まって見てみると顧客数が増えていて、顧客からの機能要望の質や、組織が抱える課題の質が変わっているということになり、結果的には仕組み自体も複雑化してしまっています。どれだけ経験を積んでも、事業会社の中にいるとフェーズごとの区切りを中にいて明確に気づくのは難しいと思います。
ただ、フェーズごとの区切りを知ってるのと知っていないのとでは大きな違いがあるので、さまざまなことを経験し、すべてのフェーズを見れるようなデザイナーがrootから生まれてくるとデザイナー業界に与える影響は強いんじゃないかなと思います。

デザイン会社は「人の変化」に合わせてフォーカスするものを変えられる

西村:事業成長のメカニズムについて語ってきましたが、今後rootの事業がどう変化していくのかもぜひ話したいです。村越さんと最初に話をした際、「事業をポートフォリオにしてく」という話をしたと思います。その考えが個人的にはすごく良いと思っていて。今はデザイナーがデザインをする対象がひとつのアプリとかウェブサイトにとどまらず、組織や事業を含めた会社全体にどう寄与するかが問われている時代です。村越さんが仰っていた「事業をポートフォリオにする」ということについて、この場でお話しし、解像度を上げていければと思っています。

村越:事業をやっていくにあたって、選択的かつ戦略的に自分たちの会社を目指すべき方向に進ませていく際、この辺のクライアント、この辺の領域を取っていくとユニークネスが上がっていくのではないか、と思っています。
例えば、あるデザイン会社が自社の支援領域を医療やヘルスケアに特化するという話はマーケットリーダー型の事業成長の形だと思いますし、他にもスタートアップにフォーカスするという特化の仕方もあると思っています。また、それ以外の組織フェーズやプロダクトフェーズに合わせて、立ち上げの部分に特化するというやり方もあると思います。どの切り口で自分たちの業態や支援の幅を広げていくかを考えた際に、案件選定の基準やアサインに対する考え方の定義を絞っていけば自ずとシャープになっていくはずなので、そこにトライしてみる価値はあるかなと思っています。
それをトップダウンで事業成長の部分からブレイクダウンして決めていくやり方もありますし、ボトムアップでメンバーの個性に合わせて決めるというやり方もあると思います。例えば、メンバーの中でコスメがすごく好きな人がいたら、コスメ業界に対する知識が深いので、そこを支援できますという話も一つのバリュープロポジションだと思います。

西村:デザイン会社をやっていて、一番いいなと思うのは人を通してクライアントを支援していることです。ここが最大のユニークなポイントだと思っています。
人は変われるという前提があるから、変化によって支援する対象を変えていけるのは大きいです。いろんな事業の理解を深めていく中で、フォーカスできるものを変化していけるのはデザイン会社ならではの強みだと思っています。

村越:逆に言うと、今のrootの規模だからこそできている部分もあると思います。これが100〜200人くらいの規模になってくると、そうもいかなくなってくる。で、今のフェーズや、rootのカルチャーであれば、仕事を通じてメンバー自身も、役職に関わらずデザインの導入・浸透に関わることができる。rootをある意味、良い実験場にして、自分たちでデザイン組織を立ち上げ、その組織で培ったナレッジなどを別の組織に還元するといったことができると、デザイン業界の学びになっていくはずです。

西村:そういったものに取り組んでいけるというのは、人を通じて支援しているからこそできる部分ですよね。今日はお時間いただき、ありがとうございました。

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