見出し画像

これからの時代、デザイナーとしてどうあるべきなのか

はじめまして、株式会社rootでデザイナーをやっている手塚と申します。

我々rootはUI/UXに特化した、7名のデザイナーから構成されるデザイン組織です。
こちらのnoteではメンバーが日々の業務を通じて感じたこと、発見したことをカジュアルに書き綴っていきたいと思います。

ちなみにオフィシャルブログもやっていますので、そちらも良かったら見てみてください。(オフィシャルブログはナレッジシェアとかイベントレポートがたくさん載っています)

***

さて来たる7/24(水)、弊社主催の Service Design Night vol.8 というデザインイベントが渋谷TECHPLAYで開催されます。

Service Design Nightとは、デザインを実践的に活用できるデザイン組織、デザイナー育成を行うことを目的としたコミュニティです。
TECH PLAYさんに専用ページがあるので、興味がある方はフォローをお願いします!

今回のテーマは「デザイナーぶっちゃけトーク〜今活躍する4人が考える、デザイナーとしてのあり方〜」。

概要をざくっと言うと、「デザイナーのキャリアパスが色々増えてきたけど、デザイナーとしてこれからどういうことをしていくべきなの?」というテーマのお話です。
事業会社と制作会社、どちらの在籍経験もある現場デザイナー4名が対談形式で、良し悪しではなく各々の経験をもとに問いを紐解いていくという会です。僭越ながら私も登壇させていただきます。

イベントページは下記です。

今回のお話、もちろん正解なんかはありません。
100人いれば100通り答えがある類のテーマだと思っていますし、環境や経験によっても目線がそれぞれ違うでしょう。
なので今回はスピーカーが一方向で発表するというよりも、来てくださる方々と一緒にテーマの問いを考えられる、そんなイベントにできたらと考えています。

イベントに際して、この投稿ではスピーカーである私が何者かということと、私がイベントでお伝えしたいことを書きたいと思います。

自己紹介

手塚 瑛(テヅカヒカル)と申します。rootには約1年前に転職という形で入社をしました。

Web/AppのUIデザインを主軸に、スタートアップの企業様から大企業様まで新規サービス立ち上げのお手伝いをさせていただいています。
お手伝いさせていただいたサービスが次々とローンチされはじめてきたので、最近は事業を成長させるための仕事が多くなってきています。どのサービスも面白く、今後のお仕事が楽しみです。

さてデザイナー歴ですが、今年で5年目になります。
学生時代のアルバイトを含めるとwebやアプリのデザインをはじめて7年目です。
諸先輩方からすればまだまだ青二才ですが、さすがに若手とも呼べなくなってきておりいよいよシニア枠になってきたなーと感じています。

…と自己紹介がこれだけはだいぶしょっぱいので、私のバックグラウンドについて、デザインを始めた学生時代〜現在までをいくつかに分けて書き綴っていきたいと思います。

作ることに夢中だった大学時代

大学2年生の終わりに、とあるデザイン会社でアルバイトを始めたことから私のデザイナー人生がスタートします。

私は美大生ではなく、一般大学に通う文系の学生でした。真面目に大学に通っていなかったのでバイト戦士と化していたのですが、当時やっていた接客のアルバイトが自分に合っていなかったことと、所属していた部活が映像・出版系だったこともあり「フォトショとかイラレを使ってお金稼げたらサイコーだな」という特に深い理由もなくデザインの門を叩くことになります。

デザインのデの字も知らないズブの素人だったので、入社最初、バナー1枚に7時間かけても完成させることができないくらいには全く使えない奴でした。
後日談ですがクビ寸前だったとのことで、バイトでもクビってなかなか聞かないので相当ヤバかったんだと思います。

最初こそ思うようにできなかったものの、そこでは大学卒業までの2年間、ビジュアルデザインとコーディングを主としながら、とにかく手を動かしてアウトプットを作りまくりました。
地道に基礎体力をつけていく中で、複雑な情報を適切に整理し視覚的に伝わりやすく表現をすることの面白さや、言語に出来ない曖昧な事柄を目に見える形として生み出すことの楽しさに気づき、どんどんのめりこんでいきます。

就活のタイミングで一度は立ち止まって考えてみたものの、やはりこれ以上魅力的な仕事を見つけられずそのままデザイナーという道を目指すことになります。

価値観が変わったヤフー時代

そんなこんなで大学を卒業し、デザイナー職でヤフー株式会社に入社します。
様々な職種の人達と共にひとつのサービスを作り上げていくという、まったく新しい角度からデザインをすることになります。

ヤフーでは、Yahoo!メールに1年半、途中出向という形でGYAO!に1年半関わっていました。
両サービスともに主としてやっていたことは、数値化されている目標を達成すべく施策を考え、実行し、結果を見て再び施策を立て、実行する…を日々繰り返すことでした。
ABテストを地道に回してみたり、数値分析をして施策立案したり、定性調査をしたり、時に社内間でのコミュニケーションの調整役に回ったりなど、やることの種類は多岐に渡っていました。

プロモーション案件や新規開発などでガツガツ手を動かしてデザインを作ることもありましたが、押し並べてみると、デザイナーらしいことを多くはしていなかったように思います。
情緒的に何かを考えることよりも、極めてロジカルに考えて意思決定することを強く意識していました。

デザイナーらしいことをしていないというとちょっとネガティブに聞こえますが、日々の業務に対して嫌だと思ったことはありません。
地道な調査や数値分析を重ねて目に見えない課題を発見し、様々な職種の人たちが力を合わせてあの手この手でひとつずつ課題を解決しながら、ひとつのサービスが日々進化していく…身をもってこの経験ができたことで自分のモノづくりに対する価値観が変わる大きなきっかけとなりました。(自分自身のキャリアにおいて、ヤフーという存在はなくてはならなかったと思っています)

視覚表現の面白さに夢中だった頃はデザインをすることが目的になっていたような気がするけど、サービスを作ることにおいてデザインは目的でなく、あくまでサービスを成長させるための手段であるのだと思うようになりました。

Yahoo!メールもGYAO!も、私が在籍していた時はアウトプットをガシガシ生産せよという感じではなく、サービスを伸ばすために何をすべきかを職種横断で考えて行動することが求められていたように思います。
私はこれを「肩書きは気にせず自分が出来ることは何でもやる」という風に自分の中で咀嚼し、行動の指針にすることを決めました。
投げられたボールは全て打ち返してやるぜとバッターボックスで息巻いて、常にフルスイングしている状態だったと思います。

気付いたら何でも屋になっていた

サービスのためなら何でもやります!で突っ走り続けていたのですが、3年目の夏が過ぎた頃から自分の指針に対して疑問を持ち始めるようになります。

当時所属していたチームでは施策やアウトプットに対して常にチーム全員で確認し、議論を重ねていたのですが、そこであるチームメンバーと衝突したり厳しいフィードバックをされることが多くなってきた時期がありました。
もちろんみんなサービスを良くしたいという一心ではあるものの、それぞれ提案するアプローチが違っていたために上手く噛み合わない部分があったのだと思います。
しかし何だか言い返せずモゴモゴしてしまったり、言い返しても自分の中で納得できずモヤモヤして、自分が発するどの言葉にも説得力がないように感じはじめました。

上手くいかない日々のなかで、その原因ともなる気づいたことがひとつ。
私は何でも屋になってしまっていたのでした。

投げられたボールを選ばず、求められることに対してひたすら打ち返し続けていた私は、すベてのことに対して中途半端になっていました。
「あなたは何ができるの?」って言われたら人並みにできることは多いけど、胸を張って「これが得意なので私に任せてください!」ということが何もなかったのです。だから多分、何を言うにも自信がなく、説得力に欠けていたのだと思います。

アイデンティティを一気になくしたような気分になってしまい、ひとしきり落ち込んだ後は悩み、苦しみ、迷走を続けました。
いち早く自分のポジションを確立させなければと必死で、この頃は熱心に色々なメディアやSNSをチェックするインプットオタクになっていたような気がします。
溢れかえる情報に振り回され、「市場価値の高いデザイナーはこうだ!」とかいうのを鵜呑みにしたり、「デザイン × ○○」のような、デザインとプラスαの知識がないとこの先を生きていけないのだと思い込み(もちろんこういった知識を身につけるのは大事ではありますが)、経営やマーケティングの本やら記事やらを読み漁っては中途半端に足を突っ込み、エンジニアリングも必要だ!と、これもまた中途半端に勉強しては足を突っ込み…。
やればやるほどどこに向かっているのかわからなくなってしまい、ズブズブと泥沼にはまって行きます。

時間が経てば解決することでもなく、こんなに苦しいならもう辞めようかなと思って異業種の求人を眺めてみたりなんかもしましたが、それはそれでちょっと違う。
仕方ないから知識や情報をやみくもにインプットするけど前に進んでいる気が全然しなくて、そんな時に業界の人だったり同期だったりが成功しているのを見ると、嫉妬と焦りと嫌悪の気持ちでいっぱいでした。

鬱々としながらも何とか日々の業務ができるギリギリのところで精神を保っていましたが、ある日の業務中に突然、糸が切れるように涙が止まらなくなってしまいます。
さすがに精神の限界を感じ、これをきっかけに半ば逃げるような形で転職を決意します。
もちろん衝動だけではなく今後のことを含め色々なことを考えた上で最終的に転職という決断をしたのはありますが、この瞬間がなければ転職はしなかったでしょう。

ちなみに建前としては前向きな理由で退職の意向を伝えました。
だって辛さを退職の理由にすると後味が悪いしカッコ悪いし、でももうちょっと頑張ろうよなんて言われた日にはベッドから起き上がれなくなってしまいそうだったので…当時の関係者の方々には本音で話せず、精一杯見栄を張ってしまって本当に申し訳なかったです。

rootにジョイン、その後

退職しようと決めてからは軸足を見つけられない歯がゆさは残りつつも、何かが吹っ切れたのかスッキリした気持ちでした。
そこからトントン拍子でrootへの入社が決まり、去年の7月から働き始めることになります。

ここからは前向きに順調に…と思っていたのですが、入社早々またもトラブルが発生します。

…とここから先の話をこのまま書き続けたいところですが、ここから先はトークセッションでお話できればと思っているので、今は書かないでおきます。

さわりだけ書こうかなと思ったのですが上手くぼかせる自信がなく、歯切れの悪い感じで終わらせてしまってすみません。笑
イベントが終わったら追記する形でここを埋めようと思います。

今回のイベントで私がお伝えしたいこと

Service Design Nightといえば、過去のスピーカーが皆さますごい方々で、もちろん、今回のスピーカーも色々な経験を詰まれているすごい方々ですよね。
一方の私ですがSNSは基本的に見る専門ですし、ひときわ目立った実績があるわけでもございません。
なので、あんた誰?というお気持ち、よくわかっております。私が一番、私なんかが人前でエラソーに喋るなど大変恐縮だと思っています。

発信や人前に立つことは正直苦手なので本来なら避けたいところでしたが、なぜ今回スピーカーとして出ることを決めたのかというと、なんでもない普通の、現場のデザイナーが考えるリアルをお伝えしたかったからです。

メディアやSNSを見ると有名ですごいデザイナーさんってたくさんいると思うんです。
なんだかすごいキラキラして見えるし、そういうすごい方々の発言が業界のスタンダードのように感じてしまって、それと比較して色々思うことって少なからずあるんじゃないでしょうか。
発信が簡単にできる今の時代は本当にたくさんの情報で溢れかえっていて、一体何が正しいのか?自分が今やっていることや考えていることは果たして正解なのか?と時に迷ってしまうことがあると思います。

先にも書いた通り、私は自身のあり方に対してとても悩み苦しんできました。
何者かになることに憧れながら何者にもなれず、理想と現実のギャップに人一倍焦り、周囲の活躍に嫉妬しては自分に嫌悪するという負のループに気が狂いそうでした。
そんな私ですが、ようやく最近この負のループから抜け出すことができたような気がします。
時間をかけて出した答えはとってもシンプルなものでしたが、外ばかりに目を向けてしまえばしまうほど、当たり前なようで大事なことって簡単に忘れてしまうものだなと痛感しています。

近年、デザイナーに期待されることや任される範囲がどんどん広くなってきていて、経産省からデザイン経営宣言が発表されたことによりさらに追い風が吹いてきているように思います。
デザインという言葉が注目され、デザインがデザイナーだけのものではなくなってきている今だからこそ、「自分はどうあるべきか」と自分の内側の部分にしっかり向き合うことが大事なのだと考えています。
トレンドに流されたりスキルをやみくもに追いかけるばかりでは唯一無二になれませんし、そうすればするほどに、自分で自分を追い詰めてしまうのだと思います。

もし私と同じように悩み苦しんでいる人がいたとすれば、その人が自分自身の内側と向き合って、良い方向に向かえるよう少しでも背中を押せたらという気持ちです。おこがましくはありますが…。

なので当日はみんなが頷くありがたいお話というよりも、等身大でお話をできたらなと考えています。
少しでも、同じように悩んでいる誰かの、考えるきっかけになれたら嬉しいです。


***


だいぶ長くなっちゃいました。ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。

先にも書きましたが、今回の Service Design Night はひとつの答えを導き出すものでもなければ、「これはこうである!」とか「こうしたら良くなりました!」というナレッジシェア的なことを一方的にお伝えするわけでもありません。
それぞれバックグラウンドも立場も違うデザイナーがそれぞれの経験や価値観を話した上で、来場された方と一緒にテーマについて考えるイベントだと私は認識しています。
なので色々な立場の、色々な考えを持つ方々に来ていただけたら嬉しいなと思っています。人のバックグラウンドや価値観にふれるのは個人的に大好きなので楽しみです!

ありがたいことにイベントの席数も増枠するまで参加表明をいただいています。
残りあと13席!みなさまぜひお越しください。


それでは!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?