サービスの開発現場に隠れた課題を発見し、デザインをプロセスから改善
〜デザインにおけるリソース不足を補填すると同時に、レビュー方法や利用ツールも変更〜
NRIセキュアテクノロジーズ株式会社(以下、NRIセキュアテクノロジーズ)が提供するセキュリティ対策実行支援プラットフォーム『Secure SketCH』のデザインプロセスの改善を担当しました。
PdMやエンジニアもデザインを創る組織文化へ。「Secure SketCH」の事業拡大をプロセス改善とデザイン制作の二面から支援
ご相談いただいた時の状況
ご相談いただいた際の問題は、サービス開発におけるデザイナーのリソース不足でした。デザイナーが足りない、そのためUI・UXの設計なしに開発を行う結果、UIの一貫性が保たれず、サービス開発の各工程において成果物の品質にばらつきが生じているという問題が起きていました。まず、私たちはプロジェクトの開始から2週間ほどかけて、課題の特定に着手するところから始めました。
課題に取り組んだプロセス
ドメイン知識をキャッチアップしながらデザインタスクの解消
内部にデザインリソースが不足していたために停滞していたデザインタスクの解消に取り組みました。デザインタスクは仕様が決まっているものと決まっていないものが混在している状態であったため、ユーザーストーリーマッピングを用いて優先順位や要件整理から行いました。
Secure SketCHは、必要となるドメイン知識が多いサービスだったため、UIから読み解いたり、PdMとディスカッションしながら、知識をキャッチアップし、デザインに落とし込んでいきました。
デザインタスクの解消と同時に、プロセスにおける課題を抽出
デザインタスクの解消を行う過程で、クライアント社内のデザイン制作の流れを体験し、課題がどこにあるのか、調査を行いました。その結果、開発プロセスに課題があることを発見。
PdMとデザイナー間で要件の認識が合っておらず手戻りが発生してデザインが収束しない、デザインレビューが五月雨で整理に時間が取られてしまうといった課題が原因となり、リソースを圧迫していることがわかりました。
デザインプロセスを導入し本質的な課題を解消
上記で発見した課題に対し、デザインプロセスの導入を提案。「UXデザインとは?」というデザインプロセスの前提となる考え方を共有し、以下のようなデザインプロセスの導入を行いました。
特にアイディエーションフェーズにける「要件のすり合わせ」と「アイデアの十分な発散と収束」に注力。具体的には以下4つの方法を実施しました。
- PdMがたたき台になるデザイン要件とワイヤーをまとめるように役割分担を見直し
- ローカルファイルだと、リアルタイムな共同作業に向いていないため、パワポやエクセルを廃止して、Figmaを導入
- 非同期でFigmaにコメントを残す形へデザインレビュー方法を変更
- 一日15分程度のUI/UXチームのデイリーMTGを設定し、同期での疑問解消タイミングも確保
これらの改善により、デザイナーとPdM間の要件に対する認識のズレ解消や、アイディエーションにおける十分なアイデアの発散、レビューを受けて作業着手するまでの時間短縮を実現することができました。
解決のアプローチ
ユーザーストーリーマッピング
MVP(最低限の価値を実装したプロダクト)のフェーズで実装するユーザーストーリーを決めるフレームワーク「ユーザーストーリーマッピング」を活用しました。
デザインプロセスの導入
デザインプロセスとは、目的設定からリリース後の評価、再度改善する一連の流れを指します。デザインプロセスを導入することで、UXデザインに重要なInsight(洞察)とIteration(反復)を開発プロセスへ取り入れられます。
プロセスから生まれた成果
これらの施策の導入によって、議論が具体的になり、手戻りが少なくなりました。デザインタスクの処理がスムーズになったことで、リソースが確保でき、スピードが上がったため、デザインのアウトプットの質と量が向上しました。
現在は、PdMがFigma上でディスカッションして、ワークショップをしたり、ワイヤーフレームを作って共有するように変化。デザインレビューの実施を取り入れたことにより、PdM自身のデザインの判断軸の質とスピードが上がっています。
プロジェクトメンバーとクライアントからのコメント
NRIセキュアテクノロジーズさんのお力添えがあったことで、デザインタスクの解消だけでなくデザインプロセスや共同制作ツールの導入をすることができました。導入後も検証・改善ができているので、引き続き改善していきます。今後もデザインタスクと向き合いながら、チームやプロダクトにとって最善のプロセスを模索していきたいです。
rootさんには内製のデザインチームのように幅広い領域でご支援頂いています。UI/UXに優れたデザインの作成をお任せできることは当然ながら、優れたデザインを提供するための企画→デザイン→開発の全体プロセスの整備や、PdMが「何を作るか」の上流工程の要件定義を、ユーザーストーリーの作成等で伴走してご支援頂いています。継続的な機能追加・改修やUI/UXが優れていることが前提のSaaSサービスを提供していく上で、デザインを中心に内製チームのように幅広く支援して頂けるrootさんは、Secure SketCHにとって、正にうってつけのデザイン会社さんだと思っています。
GRCプラットフォーム部 プロダクトチームリーダー:神野宰平さん