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PdMやエンジニアもデザインを創る組織文化へ。「Secure SketCH」の事業拡大をプロセス改善とデザイン制作の二面から支援

rootは、NRIセキュアテクノロジーズ株式会社(以下、NRIセキュアテクノロジーズ)が提供する企業のセキュリティ対策状況を得点や偏差値で可視化するサービスである『Secure SketCH』のデザイン制作に伴走しています。デザインパートナーとしてデザイン制作をするだけでなく、デザインプロセスの導入やチーム内にデザイン視点を醸成するための取り組みをこれまでご一緒してきました。

どのようにしてデザイン制作だけでなく、プロセスの改善に取り組んだのか。本サービスの責任者であるGRCプラットフォーム部長の足立道拡さんとプロダクトチームリーダーの神野宰平さんをお招きし、root古里、奥沢とともにプロジェクトについて振り返り、お話をお伺いしました。

サービスの開発現場に隠れた課題を発見し、デザインをプロセスから改善

Secure SketCH 画面イメージ

rootが支援する前に抱えていた課題

足立道拡さん(以下、足立さん):Secure SketCHは、「難しいセキュリティをシンプルに伝えたい」という思いから、2018年4月にスタートしました。UIデザインは、セキュリティ評価をわかりやすく伝えることを重視しており、お客様からもユーザビリティについて、有難いことに非常に高くご評価いただいてきました。

足立さん:しかし、サービスの成長と共にお客様の数が増え、ご要望をいただく機能が多様化していくにつれ、初期はシンプルであった画面が複雑化してしまい、UI/UXの品質の課題が顕在化しはじめました。

NRIセキュアテクノロジーズ株式会社 GRCプラットフォーム 部長 足立道拡さん

神野宰平さん(以下、神野さん):チームにおけるメンバーの数のバランスも、UI/UXの品質課題が顕在化した要因の1つでした。増えてきた機能要望の実装を進めるため、エンジニアを増員した結果、エンジニアとデザイナーの人数バランスが崩れてしまったのです。チーム全体のバランスを捉えた時に、エンジニアの比率が多くなったことで、開発にかかる工数や作りやすさを判断軸に加えやすくなった一方で、ユーザーが使いやすいかどうかのデザイン観点も同じように強くしていくことが次の課題になりました。

チームの目が、お客様から評価いただいていたはずのわかりやすさや、使いやすさに向きづらくなっていることに危機感を持ち、それを改善していきたいと考えて、rootさんへご相談させていただきました。

株式会社root UXデザイナー 古里

古里:課題感をおうかがいして、サービスとしての経営・開発・顧客視点のバランスを考えると、ただデザイナーを増やすだけでは不十分ではないかと感じていました。そこでリソースを投入しただけでは解消されない部分にも積極的に関わっていきたいと提案をしていきました。例えば、ワークフローの整備や複数名のデザイナーが関係しながら進めていくためのツールや体制の整備などです。

一方、デザインリソース自体の不足を解消する必要もあったので、デザイン制作にも取り組んでいきました。Secure SketCHは難しい仕様になっており、ドメイン知識が求められるサービスです。そのため、サービス資料や既存機能等を読み解いていき専門知識を深めると同時に、PdMとディスカッションしたりしながらデザイン制作を進めました。

神野さん:知識が必要な部分もキャッチアップしてくださったことで、最初から満足のいく品質でのデザインの成果物を出していただきました。そこで、rootさん以外が作るデザインも全てこの品質に合わせていきたいと思い、デザイン制作の実行に加えて、デザイン制作の仕組みを整えてもらうことをご相談していきました。

古里:私たちもご一緒するなかで、整備できそうな部分があると感じていたので、全ての工程をチェックして課題を抽出しました。将来的にインハウスのデザイナーが増えて、rootが抜けたとしても、変わらない品質を保てるような仕組みを一緒に作っていけたらと思っていました。

神野さん:これまではデザイナーのリソースが足りてなかったこともあり、開発に全くデザイナーが介在しないことや、デザイナーに依頼する場合には、人によってお願いの仕方が違っているなど、品質を上げるための仕組みに課題がありました。rootさんにはこれらの課題を解決して、再現性高く良い品質のものを作れるようにするためにデザインプロセスの導入をご提案いただきました。

足立さん:品質を上げていくためにプロセスをどう変えていくべきか、いろいろな観点からご提案いただけたことは、とてもありがたかったですね。

デザインプロセスを導入し、エンタープライズ顧客向け機能のリニューアルに成功

古里:デザインプロセスについては、まずFigmaの導入や、UI/UXチームの一日15分程度の日次会議の実施からはじめました。コミュニケーションの頻度を上げ、実際にデザインタスクを進めるなかで発見した課題にあった解決策を考案し、デザインプロセスをブラッシュアップしていきました。

NRIセキュアテクノロジーズ株式会社 GRCプラットフォーム部 プロダクトチームリーダー 神野宰平さん

神野さん: PdMがデザイナーやエンジニアに前提情報を共有する企画の要件シートや、アウトプットをチェックする観点についてまとめたレビューシートなどはご提案してもらった有効な施策でした。

以前は、企画段階で背景や課題、それに対する解決策、ターゲットユーザーやスケジュールも含め、要件をきちんと言語化してまとめられていませんでした。要件のフォーマットを導入したことで、PdM全員が同じレベル感で要件をまとめられるようになり、デザイナーもエンジニアも要件の理解を効率的に行うことができるようになりました。

足立さん:デザインプロセスの導入があったからこそ、エンタープライズ顧客向け機能のリニューアルも問題なく進められたと思います。

神野さん:エンタープライズ向けの機能改修では、これまで機能を開発するなかで、適切に実施できていなかった発散と収束を、伴走してもらいながら繰り返し実施しました。PdMメンバー複数名でFigmaを使ってユーザーストーリーを描きながら、業務ごとに必要な画面やアクションの洗い出しや優先度づけを実施。ユーザーにとって理想の状態はどういったものか。しっかり発散しきったうえで、収束させて、要件をまとめていきました。

結果として、PdMメンバーからアイディアが沢山出され、ユーザー視点で素晴らしい企画にまとめることができました。

発散と収束のダブルダイヤモンド

足立さん:デザインプロセスの導入に伴って実施するようになったFigmaを使っての発散は、ちょっとした課題を共有する方法としても良かったと思います。特に2020年4月以降はコロナの影響で、開発チームの働き方がフルリモートになって、気軽に声をかけてコミュニケーションをとることが難しくなっていたんです。開発に関する議論も、オンラインだとFigmaのようなボードがないとどうしても空中戦になりやすかった。デザインプロセスの導入により、こうした課題もクリアされたことが、エンタープライズ顧客向けの機能改修がうまくいった要因だと思います。

古里:Figmaを使うと、議論途中の検討事項も残るので、企画の次のフェーズである情報設計もやりやすくなります。要件やこれまでの検討項目がきちんとFigma上で可視化されるため、要件を満たしているかどうかチェックするリストとしても機能する。実際に、情報設計フェーズで「この要件が抜けていませんか?」と、チームで確認できたのも良かったですよね。

PdMがデザインプロセスを理解することで、組織にデザインが浸透した

神野さん:rootさんにはデザインタスクの消化やデザインプロセスの導入に加えて、デザインについてのナレッジをインプットしていただきました。その際、UXの5段階モデルを教えていただいて、これまで私たちは表層であるビジュアルデザインばかりを意識していたことに気がつきました。要件や構造が定まらないまま、表層部をデザイナーに依頼しているから、品質面や効率性に課題が出るとわかりました。

UXの5段階モデル

神野さん:5段階モデルの考え方を理解できたあとは、PdMのほうがドメイン知識が豊富な点も含め、要件だけでなく構造に当たるワイヤーフレームまでをPdMがまとめるフローのほうが効率がよいと気づき、PdMがワイヤーフレームを担当することを標準フローに変更していきました。

これまではエクセルを使っていたので、ワイヤーフレームをつくるのも一苦労だったのですが、Figmaを導入してもらったことで、より簡単にPdMがイメージを作れるようになったのは生産性・品質の面でよかったです。 

左:株式会社root UIデザイナー 奥沢

奥沢:PdMの方が、5段階モデルを理解して、要件シートをまとめてくださるようになったことも、生産性向上やデザインのしやすさに繋がりました。要件シートが導入されるまでは、デザイナーがPdMの企画要望を汲み取りながらアウトプットを作っていました。ただ、チェックしてもらって、違っていればまた作り直すという工程を繰り返していたため、スケジュールも伸びてしまうという問題が起きていました。

要件シートを導入した今では、企画の背景やターゲットユーザーなどの仕様を理解した上で、共有されたワイヤーフレームを見て、「ユーザー視点であればもっとこうしたほうがいい」という提案もしやすくなっています。

古里:他の案件では、Figmaを使うのはデザイナーだけというケースも多いです。でもSecure SketCHの場合には、PdMが率先してFigmaを使っていますよね。文化を醸成したいと話されていた神野さんがとくに率先してFigmaを使われていて、その本気度を感じました。

足立さん:最近、本気度が伝わったのか、議論のなかでPdMやエンジニアからも「デザイン」という言葉が頻繁にでてくるようになりました。

神野さん:Figmaや要件シートを使いはじめて、PdMやエンジニアもデザインプロセスの導入による成果を感じはじめたのかもしれません。着実に「もっとデザインを改善していこう」というムードになっています。

古里:Figmaの導入も含めて、やると決めたことを徹底してやるという姿勢は私たち自身勉強になりました。フォーマットやシートの用意をしても、定着するまで粘り強くリードしていく動きは簡単ではありません。無意識に今までのやり方をなぞってしまうこともあります。そうしたときに神野さんが必ず声かけをしてくださっていました。「これ使ってくださいね」とか、「これ一緒に使っていきましょうね」とか。そうした本気で取り組む姿勢にこそ、デザインプロセスが定着した理由があるように感じました。

振り返りと今後の展望

足立さん:rootさんにご相談をした当初、代表の西村さんから「サービスを見ているメンバーの特性を理解するために、2ヶ月ぐらいかかります」と言われました。確かに、メンバーの特性を理解していただけていたからこそ、デザインプロセスやデザイン視点をここまで社内に定着させることができたのだと思います。

実は、エンタープライズ向けの機能改修では、これまでと比較しても相当複雑な機能で難しい検討になるだろうと予想していました。ところが、出てきたユーザーストーリーや、画面デザインは、今まで見たことがないぐらい整理されていました。それを見て、rootさんがいなかったらこの機能改修は実現しなかったかもしれないなと感じましたね。同時にこれがデザインの価値なんだと私自身デザインに対する認識が変わった瞬間でした。

古里:デザインプロセスが定着してきたので、今後はもう少し上流からご提案できたらと思っています。リサーチをした上でユーザビリティの課題を抽出したり、新たな機能のアイデアをご提案したり。

神野さん:そうですね、まさに上流工程から、担当してもらえるといいなと思っています。PdMとは異なるデザイナーの視点から課題抽出や機能の提案いただけることを期待しています。そうすれば、Secure SketCHがさらにユーザーにとってよいサービスになっていくと思っています。

あとは、UX負債の解消もしていきたいですね。様々な機能を実装してきたなかで、画面ごとの印象の違いやユーザー視点が十分ではないデザインがまだ残っています。UX負債を定期的に解消しながら、全体を通して素晴らしいユーザビリティを実現していきたいですね。なので、まだまだ伴走してもらえたら嬉しいです。

古里:ぜひ、引き続きどちらもやりながら、よりよい方法を模索していきましょう。アウトプットとアウトプットを生み出すプロセスの両方から支援することで、良いサービスに育てていけたら私たちも嬉しいです。

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