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事業成長のためにデザインする。rootが注目したサービスやプロダクトをピックアップ-Voicy-

事業成長のためにデザインする。rootが注目したサービスやプロダクトをピックアップ-Voicy-

rootのデザイナーたちが、気になったサービスを考察しました。今回は「Voicy」についてです。事業成長に伴走するデザイナーが日頃、どのような視点でサービスに触れているのかをご紹介します。

Voicyとは?

https://voicy.jp/

2016年9月にサービスを開始した日本発の音声プラットフォーム。審査で選ばれたパーソナリティによるコンテンツや、新聞・雑誌が配信するニュースなどの音声配信を無料で聞くことができます。月間利用者数は、2021年3月時点で250MAUを突破し、100万MAUだった2020年末と比較すると2.5倍に増えています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000196.000021111.html

Voicyでは、専用の収録アプリ一つで収録から配信までを行え、手軽に発信できます。あえて細かい編集はできない仕様になっており、編集に時間をかけることなく簡単に音声コンテンツを作れる点も特徴です。

また、リスナーが月額の会員費を支払うことによって利用できる「プレミアムリスナー」というプランがあり、無料の配信では聞けないプレミアムリスナー向けの限定配信も楽しめます。

Voicyで一番検索されたハッシュタグが「子育て」

今回の考察では、「子育て世代にとってのVoicyの価値は何か?」をテーマにしました。このテーマを選んだきっかけは、2021年にVoicy内で一番検索されたハッシュタグが「子育て」だったという記事を見つけたことでした。これまでVoicyはビジネスに関心が高い人たちが使っている印象が強かったので意外に感じました。そして子育て世代にとってどのような価値があるのかを考察することにしました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000241.000021111.html

不安を抱えながら育児をしている子育て世代にとっての心の拠り所になっている?

私はまず、”不安を抱えながら育児をしている子育て世代にとって心の拠り所になっているのではないか”という仮説を立てました。

特に初めての子育ては不安なことが多く、孤独になりがちというイメージがあります。不安を解消するための場としてVoicyが使われているのではないかと推測しました。

この仮説に基づいてTwitterで配信されたコンテンツの感想を調査したところ、心の拠り所となる場というよりは、”時間がなくても学びたい、というモチベーションからくる情報インプットのためのツール”として使われている可能性が高いことがわかりました。

子育て世代と音声コンテンツ

音声コンテンツの筆頭としてよく挙げられるのがラジオ放送が聞けるradikoです。

そこで次は子育て世代のリスナーにとってVoicyとradikoがどう違うのかを調べたところ、主に以下のような違いがあることが見えてきました。

Voicy

  • コンテンツの粒度:興味があるテーマ単位で聞く
  • モチベーション:このテーマの話を聞きたい、など何かしらの目的がある
  • 内容:その時その場から短尺で発信され、リアルに近い話が聞ける

radiko

  • コンテンツの粒度:番組やパーソナリティ単位で聞く
  • モチベーション:娯楽として楽しみたい
  • 内容:大勢のスタッフが関わり、入念な準備を経て作られており、じっくり楽しめる

また「新聞やラジオ局がチャンネル持つVoicyの正体」という記事には株式会社Voicy CEOである緒方憲太郎さんのインタビューとして以下の話も掲載されていました。

Voicyを僕らがVoicyを始める際に最も意識したのは、「ラジオの敵ではない」と周知させることでした。実際、ラジオとVoicyには、映画とYouTubeほどの違いがありますし、ユーザー層も違います。

引用記事

このように、Voicyとradikoは、ツールとしては似ているものの、それぞれユーザー層もユーザーのモチベーションも異なっていることがわかりました。

以上から、Voicyリスナーは、”自分が興味のあるテーマ単位で聞きたい、目的があり、それに沿ったコンテンツを聞きたい、など情報インプットに対して熱心である人が多い”と考えられます。

SNSとの使い分け

続いて着目したしたのが、VoicyとSNS(Instagram、Twitter)の違いです。Voicyで配信を行うパーソナリティは、複数のSNSと合わせてVoicyを使っている傾向があるため、併用する理由があるのではないかと考えました。SNSは、情報を受け取る側のユーザーにとってはテキストや画像で時間をかけずに情報のインプットができるという利点があります。また、コメントやDMを通して投稿者とのやりとりも可能です。

これに対しVoicyには、ユーザーにとって以下のような利点があります。

  • テキストや画像と比べると感情が伝わりやすく、微妙なニュアンスも伝わる。それによりパーソナリティを身近に感じられる
  • 拡散しにくいため、炎上も防ぎやすく、SNSでは書かれにくいような、少しプライベートな話題が聞ける
  • プレミアムリスナーになることで、メンバー限定の配信を聞けたりイベントへの参加ができたり、パーソナリティにとってプレミアムな存在になれる

逆に不利な点だと、一回の配信を聞き終えるためにVoicyだと10分かかることが挙げられます。ここから、”その人の話にそれなりに価値を感じており、聞きたいという意欲”が強くないと聞かないであろう、と推測されます。つまりコアなファンがSNSよりも深い話を求めて、Voicyを聞き始める流れが多いことが予想できます。

以上のことから、VoicyをSNSと併用することで、SNSだけを使っている場合よりも、パーソナリティとリスナーがより深い関係構築を目指せることや、それによって子育て世代に受けているのではないか、ということが考えられます。

子育て世代におけるVoicyの価値

調査とこれまでの考察によって、子育て世代にとってVoicyには、以下のような価値があることがわかりました。

  • 家事や育児の合間に、自分が興味のあるテーマ(=子育て)についての情報のインプットができる
  • SNSでもともと知っていた、信頼性が高いパーソナリティによるコアな発信を聞くことができる

また、これまでの事実や価値を整理することで、下記の子育て世代がVoicyを利用するまでの大まかな流れも見えてきました。

  1. きっかけはインスタグラムなどのSNS
    • 子育てに関する投稿を見て、パーソナリティに興味を持つようになり投稿を楽しみにするようになる
    • 共感や、この人の話を聞くと自分の悩みに対する解決の糸口があるかも、と思うような、この人に教わりたい欲が生じる
  2. Voicyで配信を行なっていることを知る
  3. Voicyを聞いてみる
    • 声が実際に聞けるためパーソナリティをより身近に感じることができたり、SNSでは聞けない深い話を知れたりと面白く、継続して聞くようになる
  4. プレミアムリスナーになる
    • プレミアムメンバー向けの限定配信やイベントに参加でき、ますますパーソナリティのことが好きになる

まとめ

以上の考察から、子育て世代の中でも特に、学習意欲が高く子どもの教育にも熱心な人たちが、家事や育児をしながら子育て情報をインプットできる手段として、Voicyを使っていることが明らかになりました。

当初の仮説とは異なる結果となりましたが、Voicyの価値について、各SNSやradikoと比較したことで多角的な視点から捉えることができたと感じました。

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