- date
- 2023.02.24
DPMとは? どのようにしてチームに導入できる?
この記事は、前職はデザインプログラムマネージャー(DPM)で現在はリーダーシップコーチのCourtney Kaplan(コートニー・カプラン)氏の記事『What’s a Design Program Manager and How Can My Team Get One?』を公式に許可をいただき翻訳したものです。
この記事は、デザインプログラムマネジメントに関するシリーズの一部です。デザインの問題、デザイナーに関する内容(デザインオペレーションの必要性)、優秀なデザインプログラムマネージャーに共通する4つの特徴については、ほかの記事で紹介しています。
あなたがデザインディレクターやデザインリードだとしましょう。チームが急速に成長している過程では、人材や他のチームとの協力関係、工程管理などの複雑さによる大きな負担があなたやチームにのしかかってくるでしょう。
会議が成立しなくなり、断片的な作業が定着し始めてしまうと、有意義なやり取りやコミュニケーションが不足します。新しいデザイナーにしっかりとした研修や製品コンテキストを伝える時間を設けたいと思っていても、山積みになった自分の仕事を片づけるのに精一杯かもしれません。
一方で、人員計画が始まるとチームの作業内容やコストなどの定量的なデータを集める必要が生じます。チーム内のロードマップを作成することや、関係部署との連携、指導計画などの作成に追われることになります。
このような状況に覚えがある場合は、DPMの採用を検討する時期です。
目次
DPM導入による効果
デザイン・プログラム・マネジメント(デザイン オペレーションとも呼ばれる)は、新しい分野で、テック企業やデジタル製品チームで複雑なデザイン環境を支える人々を指します。
デジタル製品の複雑化に伴い、優れたユーザー体験の提供が成功の鍵を握っています。テック企業は、傑出した製品を出荷するために、デザイナーやリサーチャー、コンテンツストラテジストへの依存度が高くなっていきます。
プロダクトデザインチームの成長につれて、デザインディレクターやデザインリードは、本来やるべき仕事以外に過度の時間を費やすことが増えます。例えば、若手デザイナーの専門知識の構築や専門分野外のパートナーとのミーティング、チームの進捗状況の確認などに多くの時間を割くことで、高品質の製品を出荷することがおろそかになってしまうかもしれません。
そうした状況を打破するために、デザインプログラムマネージャー(DPM)を導入しましょう。DPMの導入は、デザインチームがよりよい成果を出すために効果があります。
デザイナーは、デザインすることが主な仕事です。一方で、DPMは問題を小さいうちに突き止め、危機に発展する前に軌道修正を図っていくことが仕事です。基準値となるデータを収集しながら継続的な追跡・改善を図り、既存のツールとプロセスを微調整して、適切なタイミングで資金や人材などのリソースの必要性を知らせます。
DPMは、チームを客観的に判断できます。チームが燃え尽きそうになったならば知らせたり、サポートをしたり、チームのコミュニケーションを円滑にしていきます。
デザイナーが自らの仕事に集中できると、どのような変化が起こるのでしょうか? デザイナーの煩雑な仕事が減り、より広範なプロセスとチームの課題に取り組めるようになった場合、長期的にチームにどのような影響をもたらすのでしょうか?
DPMは専門家であり、問題解決者であり、解決策の発見者です。彼らは、より良いコミュニケーションとより緊密な運用の構築により、デザインチームをシームレスに機能させ、チームメンバーがベストを尽くし、最高の能力を発揮することに集中できるようにします。それにより、チーム全体とチームが創りだすデザイン製品を成功に導くことができます。
最初のDPM導入について
DPMの導入がチームの制作過程と進歩に役立つと確信したら、迎え入れる環境を整えて優秀なDPMを見つけましょう。
優秀な人材を採用することは、組織にとって重要です。しかし、他の職種の雇用ニーズと比較すると、DPM は「いると便利」程度に見なされる場合があります。ここからは、DPMをデザインチームに導入するために、私がおすすめする方法をいくつか紹介します。
担当者が決まっておらず、対処されずに宙に浮いている仕事を見つけましょう。
中断しているプロジェクトやタスクを探してください。明確な担当が決まっていれば、こうなることを防げたでしょうか?
私の経験では、うまくいかなくなり始める背景には、融通のきかない担当者あるいは担当者が複数いることもあります。リソースを再度割り当てることで、一時的な修正はできますが、デザインチームや企業が成長する過程では、タスクが大きすぎるために日頃の優先事項以外に取り組めないことがあります。
多くの場合、社内で解決しようとするあまり、かえって問題が大きくなったり、複雑さを増したりします。DPMはそのように宙に浮いている仕事を担い、対応します。
デザインマネージャーがどのように日々の仕事をしているかをただちにチェックしましょう。
各チームのメンバーが主な業務以外に費やす時間の割合を算出することは、明確化させる訓練にもなるでしょう。デザインは希少なリソースだからこそ、デザインに集中してもらう必要があります。DPMが進行状況や仕事の速さ、影響を調べることで、デザイナーは最善を尽くせるようになります。
チームの目標を決定しましょう。
組織が今後6か月、12か月、または 18か月で達成したいこと、目標を達成するために必要なサポートを把握して、チームの目標を決定します。DPMは、チームが目標に向かって進められるようサポートをするときに活躍します。また、緊急性の高い取り組みについては、事前準備やロードマップを作成することもあります。
DPMの役割でないものは具体的に示しましょう。
不要な役割も明確にしておきましょう。これにより、他のメンバーのできない仕事を無理矢理に担うことになったり、不要なサポートを頼まれたり、他の人が担当する仕事の補助を求めていないことを上役が把握できるからです。これは、DPMが管理者やテクニカルプログラムマネージャーなどと役割が異なることを明確化する上でも重要です。
デザイナーのスキル構築に影響する環境と価値観について考えてみましょう。
- あなたが支持する価値観に基づいて職場環境を整備していますか?
- デザイナーは、あなたの存在が自分たちの成長につながると感じていますか?
- チームのスキルとリーダーシップを構築する計画はありますか?
- チームメンバーには、必要なときに頼れる人がいますか?
DPM は、こうした調査を実施して計画を立て、成功要因を突きとめて社内環境や価値観を具現化させます。
職務内容を明確にする
DPMの職務内容をまとめるための最初のステップは、今後DPMと共に働くことになる人たちからの賛同を得ることです。DPMが引き受けられることを考えるため、チームからアイデアや想定していること、担って欲しいことを聞き取ります。DPMの職務内容は、他の人がやりたくないことのリストにならないように注意してください。 (やりたくない仕事をこなしてもらえれば助かりますが、その役割の担当を雇ったり、誰かを従事させ続けることは難しいでしょう)。
次に、DPMの役割に合わせて職務内容をグループ化し、優先順位を付けます。このリストは、1人が実行できる仕事量よりも多くなるはずです。これは、DPMに十分な仕事があることを証明する材料になります。
また、このリストは、DPMの傘下に必要とは限らない他の業務について議論が起こる可能性があります。最終的には、1人がうまくやり遂げられる現実的な範囲で考えてください。
次に、よい人材の採用につなげるために求職者に求める最も重要な資質を検討しましょう。「完璧な人を見つけよう!」と思うよりも、DPMに必要な特性を明確にすれば、求める人材とマッチする人を見つけることができるはずです。
あなたが求めるのは共感的なチームビルダーですか? 利害関係者との調整や計画推進に優れた人物ですか?戦略的協力者は誰ですか?
求職者の資質として求めていることを明確にしておきましょう。
重要な資質に加えて、伸びしろと求める実績について、現実的に考えましょう。そうすれば、社内でスキルを磨くことや人間関係を築いていく過程で、学びと共により大きく貢献をしてくれる新人を雇用できるかもしれません。ただし、管理や研修が必要になる可能性があるため、日常的に業務遂行ができるまでに18~24か月程度の時間を要することになるかもしれません。
同様に、経験者を採用する場合には、リーダーシップやオーナーシップを発揮し、経験を活かして影響力を与えられるポジションを用意する必要があります。
これらを想定しておくことは、仕事内容を説明する際に役立つだけでなく、面接に臨む際に求職者に期待することを明確にし、成功するのに役立つ資質を理解しておくのに役立ちます。
コートニー・カプラン氏の『優秀なDPMに共通する4つの特徴』についての記事は、後日翻訳記事を公開予定です。
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