- date
- 2016.11.01
カスタムオーダーをより身近にする『Fabric Tokyo(旧Lafabric)』を支える、事業フェーズに応じたUI/UXデザインパートナーのあり方【前編】
ライフスタイルデザインが手がけるカスタムオーダーのメンズファッションサービス『Fabric Tokyo(ファブリックトウキョウ)』。
同サービスでは、『Wear Your Personality(個性を着よう)』をコンセプトに、スーツやシャツなどのデザイン、生地、サイズをカスタムオーダーできます。
2015年3月の正式ローンチ後急成長を遂げ、今年の1月には渋谷に実店舗をオープン。日本各地でポップアップストアも展開し、オンラインとオフラインを組み合わせながらサービスを提供しています。
rootは、Fabric Tokyoがサービスを公開する半年ほど前からデザインパートナーとして関わりはじめました。
初期フェーズではUIデザイン制作を、事業進捗にあわせてデザイナーの育成、開発体制の構築支援、デザインの上流工程のコンサルティング等、実施する内容も変化していきました。
2年が経過した今、当初は2、3人だったライフスタイルデザインの社員も今では20人近くに成長しています。
今回、『Fabric Tokyo』を運営するライフスタイルデザイン株式会社代表取締役兼CEO・森雄一郎さん、デザイナー・横尾亘亮さんをお招きし、root西村、古里を加えた4名でこれまでの歩みを振り返りました。
目次
事業フェーズに応じた、本当にやるべきことを見定める
森さん:最初にrootにお願いしたのはちょうど2年前です。ご一緒させていただく前から、rootさんのことは存じ上げていました。私がメルカリで働いていたときに、rootさんがコンサルをされていたCrevoさんが横で働いていましたし、共通の知り合いも多かったんです。周りからrootさんの評判を聞くなかで、うちにマッチするのではないかと思ってお願いしました。
西村:当時、rootに関してどのような評判を聞いていましたか?
森さん:納品して終わりのデザインではなく、継続的にPDCAを回してサービスを成長させていくデザインのハンズオン支援を行っている話を伺っていました。弊社は、中長期的に成長を目指していなければいけない事業体です。中長期的な視野でデザイン戦略や設計、ターゲティングなどを共にやっていけるデザインパートナーを探していました。
西村:rootが行っているハンズオンでのデザイン支援を評価いただけていたのはうれしいですね。当時は、まずウェブサイトをリニューアルから関わらせていただきましたね。
森さん:正式ローンチの時ですね。当時はデザイナーもエンジニアもいなかったので、ウェブサイトは私がひとりで作った簡易的なものでした。ベータ版として半年ほど動かしたのですが、正式ローンチに向けてフルリニューアルすることにしました。2015年の3月に正式ローンチしたので、リニューアルのプロジェクトとしては半年くらいの期間でしたね。
西村:最初は、そもそも何をやりたいかを入念にヒアリングさせていただきました。よく言われることではありますが、「誰がターゲットなのか?提供する価値や解決する課題は何なのか?」をはっきりさせなければ、デザインは進められません。特にFabric Tokyoさんの場合、サービスの入り口がウェブだったので、そこでお客様を獲得することはとても重要でした。
森さん:私がよく覚えているのが、毎週ミーティングを行うなかで、なぜこのサービスをやり、どのような成長を描きたいかを丁寧に整理してもらったことです。当時は、ニーズをしっかりと捉え、お客様の数を増やすことにばかり目を向けていて。数字や利益の前に、核となる企業のあり方を一緒に考えてもらいました。あのフェーズで企業理念や、私やメンバーの想いなどを整理できたからこそ、サイトトップの見せ方やブランドカラー選定といった実際のリニューアル時に迷いなく決めることができましたね。
西村:最初の用件定義は入念に行いましたね。やるべきことはなんなのかを、とにかく一緒に考えていきました。サービスのフェーズを考慮しながら、限られたリソースと予算でやるべきことを判断しなければいけません。
森さん:私はずっとパーソナルデータを活かしたビジネスをやりたいと言っていたのですが、西村さんに止められましたもんね(笑)データビジネスは、あのフェーズでやるべきことではなかったですね。
西村:デザインにおいて、やりたいことを全て反映させるわけにはいきませんから。「いまのフェーズだからやるべきことは何か」を考えることは、事業を成長させるうえで重要な問いになります。
社内デザイナーを加え、改善を繰り返す
森さん:サービスをリニューアルした後は、改善を繰り返し、PDCAを回すことに注力しました。毎週成果を確認し、次に実装する機能や改善点を考え、翌週に向けて動かすサイクルを繰り返していました。その頃、古里さんがプロジェクトに関わるようになったんですよね。
古里:ちょうど1年ほど前にrootに入社し、『Fabric Tokyo』に携わるようになりました。西村とともに、UIやユーザーフローなどさまざまな部分の改善をとにかく繰り返しました。当時と役割は変わりましたが、今もライフスタイルデザインさんが運営されているウェブメディア『customlife』のUIデザインからコーディングを継続して担当させてもらっています。
森さん:古里さんのおかげで『customlife』は月間100万MAUを超え、常に数百人がいる人気サイトになりました。メディアを訪れる人はサービスにとって重要で、オーダーを体験してもらい、リピーターになってもらえるよう、これから更に導線を強めていきたいですね。
西村:サービスとして、売上へ繋げるための施策は今後さらに強化していきたいですね。ライフスタイルデザインさんにデザイナーの横尾さんが入社されたのは、古里と同時期でしたよね。
森さん:そうです。横尾はアパレルの経験があって、現場を知るデザイナーでした。ただ紙のデザイン出身なので、たとえばカスタマージャーニーといったウェブのデザインに関する知識は勉強が必要で。最初はrootさんに出向のような形で勉強させていただきました。
横尾さん:rootさんで働いたことで、『Fabric Tokyo』での基礎を作っていただいたと思っています。ウェブの知識はもちろん、『Fabric Tokyo』がどのようにデザインされてきたか、普段デザインをどのように進めているかなど、歴史も知ることができました。私が作ったデザインに対し、客観的かつ、ロジカルにフィードバック頂くのはとても貴重な経験でした。
古里:私たちとしても、現場を知る横尾さんがいることで、お客様に近い目線を持てたことはとても貴重だと思っています。私たちだけでは気づかない視点からの意見を頂くことがとても多かったですね。
スタートアップだからこそ必要な、社内体制作り
西村:横尾さんが入社されてからは、チームが大きくなるのに合わせて、徐々に開発体制の内製化を進めていきました。
森さん:そうですね。開発体制の内製化には半年以上かかりましたが、rootさんが根気強く体制作りを支えてくれました。うちのデザイナーをどうやって教育してくださったんですか?
西村:ミーティングにデザイナーの方を入れて、仕事の進め方を覚えてもらいながら、デザイン業務を引き継ぐようにしていきました。デザインに必要な「考える力」をつけてもらうため、機能を追加する理由や、デザインの目的を確認するといったフィードバックも繰り返し行いました。
森さん:横尾が出向したように、rootさんがサポートしてくれるおかげで、新規メンバーがいままでのサービスの経緯を知り、サービスの理解を深めることができるんですよね。スタートアップは次々と人が増え、日々めまぐるしく変化していきます。その環境下で、どのような経緯でサービスをはじめ、どう成長し、お客様にどんなニーズがあるかを把握している人がいるのはとても重要です。
西村:文脈が共有できていない状態で新しいものを作ろうとすると、意図が理解できず、かみ合わないデザインが生まれてしまいますから。私たちは、新規メンバーと過去のデザインの橋渡しを担わせていただいているのだと思います。
森さん:いまでも、デザインやサービスの話はrootさんに聞いてもらっていますし、内部で開発した機能やデザインに対して西村さんから「このデザインどうなの?」みたいなメッセージをもらってますよね。内部だけでやり続けてしまうと、どうしても自分たちのサービスを客観的に見られなくなってしまいます。客観的な視点での指摘はとてもありがたいです。
西村:客観的な視点が役に立っていてよかったです。
森さん:外部でパートナーとしてずっと関わってくれている人がいることで、サービスやチームにいい影響を与えてくれています。フェーズに応じて関わり方を変化してくれるのは、スピードの早いスタートアップにとってとても重要な要素だと思いますね。
後編 カスタムオーダーをより身近にする『Fabric Tokyo(旧Lafabric)』を成長させる、リアルとウェブを融合させるサービスデザイン【後編】
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私たちは事業戦略に応じたプロダクトデザイン戦略策定からUXデザイン、人間中心設計に基づいたデザイン手法を実行することで事業の立ち上がりから成長までの過程を支援します。サービス開発、UXデザインのことでお困りの方は、rootまで気軽にご相談ください。