西村 和則
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ワークショップレポート | サービスにおけるBAD UXの改善プロセス体験

2016年8月6日 リクルート様主催の UX Sketch RIDE にてワークショップの講師を担当させていただきました。
今回テーマを、「サービスにおけるBAD UXの改善プロセス体験」と題して、普段弊社で取り組むサービス改善のプロセスをシンプルにまとめ短時間でも体験できる内容として組ませていただきました。

ワークショップ内容の解説

今回ワークショップの目的としてサービスの改善を行う際のプロセスの体験とチームワークで取り組んだ場合に起こる認識の相違を埋めるための取り組みを重点においています。ワークショップの時間が80分とタイトなタイムスケジュールの中で一連のプロセスの体験をしてもらうかを考え各工程のポイントのみ摘んで要点を抑えられる構成にしています。

お題となるサービスの選定と参加者間でのサービス文脈の理解

お題の設定についても今回はこちらで選定を行い、参加者の大半が使ったことのあるサービスに的を絞り今話題の「ポケモンGO」を設定させていただきました。
結果的に全2回実施したワークショップ内でアプリを利用されたことがない方が数名いらっしゃっいましたが、話題性もあったため、サービスの概要や使い方は認知していたため最低限のサービス体験を軸にした改善案の立案を目標にワークショップに取り組んでもらいました。

ワークショップを実施する際は、前提として参加者の知識、理解度がどの程度異なるかを調べた上で、設定条件を揃えた方が良いアウトプットに繋がる傾向にあります。
前提条件として文脈を理解できていない人がチーム内に存在する場合は、まずその人に文脈を理解してもらう働きかけをすることが大切です。

デザインする対象は誰なのかを明確に定義する

デザインワークの工程において最初に利用者が誰なのかを設定することが非常に重要です。
今回は各チーム内で最もポケモンを集めている人をインタビュー対象とすることで、より具体的なフィードバックを得られやすい状態を設定しました。
インタビュー項目については目安として項目を設定させていただきましたが、通常のインタビューではより詳細なインタビュー項目の設計とシチュエーションを設定することで効率的なフィードバックを得ることが可能となります。

また、インタビュー対象に対してどれだけ共感や主観的な視点を持って課題認識を行えるかで、その後の工程での課題点、改善案のアウトプットの質と量が大きく左右されます。対象を深く理解すればするほどクリティカルな課題を抽出しやすく、具体的な改善案も立案しやすくなります。
ここでのインタビューが曖昧な状態で実施されていると課題の立案が曖昧な言葉でしか出てこない、何を解決すればいいかわからないと言った問題へ派生することも往々にして起こります。

拡散と収束による思考の整理

課題のピックアップ工程では、各自思いつくものを最低3つ出してもらう形で先ず思いつく課題点を出来る限り広げ、その後グルーピングを行い収束、主要な課題をピックアップすると言う流れで進行しました。ここで重要になるのは、アイデアを1人づつ出すのではなく、同時進行でそれぞれが考える意見を紙にアウトプットした後にチーム内での共有を行うと言う点です。
よくグループワークを実施する際に1人が代表して発言を取りまとめ、ホワイトボードへ書いていくと言うスタイルを取っている光景を目にしますが、これでは意見の強い人やファシリテートしている人間の主張にバイアスがかかっており、本来拾えるはずの些細な課題が埋もれてしまう傾向があります。
拡散のフェーズでは他者の意見に影響を受けないよう、同時進行でそれぞれのアイデアをアウトプットしてもらうことを重視すると質、量を網羅した意見を集めることができるでしょう。

また拡散したアイデアに対して、グルーピングを行うことで、拡散した情報を分類し整理すると共に効率的な議論を生むことが可能となります。
それは紙にそれぞれのアウトプットを起こし、グルーピングする中で相互の意見の確認とグルーピングを全員で行う体験を通じて課題感の共有を行っているからです。
例えばこれをエクセルシートでPCを通じて行った場合、同じように課題感を共有し理解できるかと言うと上手くいかないケースが多いでしょう。

視覚的に全員が共通認識を持つことの重要性

今回のワークショップでこだわったポイントとして、チームで合意形成を取るステップでは必ず文字または絵としてアウトプットに落とす過程を入れています。
よく会議などで議論をした際に合意形成を口頭で行うシチュエーションを目にしますが、議論が炎上する一番の原因はこれに尽きます。

課題設定をした時点でチームとして何を解決するのかテーマを明文化し再認識を行う。解決策として立案したアイデアを絵として起こすことでイメージを共通化する。

アウトプットイメージ

このように人は頭の中で思考したイメージを口頭での確認で同じイメージを共有できたと思いがちですが、実際は異なる認識をしていることが多く、その相違は企画から制作のプロセスへ移行した段階でどんどん大きくなっていきます。
そこでその認識の相異を生まないためには、企画段階で認識を揃えるためアウトプットを通じて相互認識をブラさないことが大切になります。
その中でも絵は最も共通認識を作りやすい手段であり、会議中の決定事項をグラフィックレコーディングなどビジュアライズすることによる効果は大きいと言えます。
ぜひこのワークショップに限らずチャレンジしてみてください。

まとめ

今回ワークショップの講師を担当させていただき、新たな学びや発見も多々ありました。
チームワークを実施する際の人数構成と全体の時間配分については1人あたりが会話する量を基準に設定をすると良いワークショップが体験できることがわかりました。
今回全体の時間配分が80分と短時間であり、最初は1グループあたり6名ほどでグループ数を削り各チームでアウトプットの発表までしてもらう想定でいました。
しかし実際に企画をしていく中で、最後の発表時間を確保するよりも、1チームあたり個人が蜜にコミュニケーションを取ることの方が良い気づきを得られるのではないかと考え人数を減らし、チーム内でのコミュニケーション時間を重視した内容へ切り替えました。
結果的に1チーム4人でのワークショップ実施は1人あたりのコミュニケーション量を増やし良いアウトプットへ繋がる結果となりました。

今回のワークショップで目的としていた改善のプロセス体験とチームワークで取り組んだ場合に起こる認識の相違を埋めるための取り組みを実践を通じて学習いただけたのではないかと思います。

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西村 和則

代表取締役

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root 代表取締役 事業成長を実現するためのデザインをお仕事にしています。 プロダクト戦略、組織デザイン、UI/UXデザインが主な守備範囲です。 2歳児の父。子育て奮闘中。

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