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カスタムオーダーをより身近にする『Fabric Tokyo(旧Lafabric)』を成長させる、リアルとウェブを融合させるUI/UXデザイン【後編】

ライフスタイルデザインが手がけるカスタムオーダーのメンズファッションサービス『Fabric Tokyo(ファブリックトウキョウ)』
『Wear Your Personality(個性を着よう)』をコンセプトに、スーツやシャツなどのデザイン、生地、サイズをカスタムオーダーできるウェブサービスです。

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2015年3月の正式ローンチ後急成長を遂げ、今年の1月には渋谷に実店舗をオープン。日本各地でポップアップストアも展開し、オンラインとオフラインを組み合わせながらサービスを提供しています。

rootはFabric Tokyoが正式ローンチする半年ほど前から関わりはじめ、2年が経過しました。当初は2、3人だったライフスタイルデザインの社員も今では20人近くに成長しています。

今回、『Fabric Tokyo』を運営するライフスタイルデザイン株式会社代表取締役兼CEO・森雄一郎さん、デザイナー・横尾亘亮さんをお招きし、root西村、古里を加えた4名で座談会を行いました。

前編ではこれまでの歩みを振り返り、事業フェーズによって関わり方を変えるハンズオンでのデザイン支援について語っています。

【前編】カスタムオーダーをより身近にする『Fabric Tokyo(旧Lafabric)』を支える、事業フェーズに応じたデザインパートナーのあり方

デザインパートナーとして初期のUIデザインや内部デザイナーの育成、開発体制の構築支援を行ってきたrootは、リアルとウェブを絡めたサービスデザイン、数字を見据えたデザインをも行っています。

後半では、より広範なデザインを手がけるようになってきている現状について、お伝えしていきます。

実店舗の展開によって変わるサービスデザイン

西村:『Fabric Tokyo』ではかなりユーザーヒアリングを重視されていますよね。

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(株式会社ライフスタイルデザイン代表取締役社長 森 雄一郎さん)

森さん:かなり重視しています。ここ2年ほど、ユーザー体験を重視したより良いサービスを提供するために、さまざまなお客様にヒアリングを重ねてきました。

西村:ヒアリングによって何かわかってきたことはありますか?

森さん:ヒアリングを通して明らかになったのが、うちの商品は顧客単価が数万円もするので、自分で納得してから購入したいと考えているお客様がとても多いということ。お客様に納得してもらうためには、一回実物を見て、納得、信頼して買ってもらうと必要があります。「これは実店舗が必要だ」という結論になりました。

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西村:オンラインで完結していたサービスがリアルを絡めるとなると、お客様の体験は大きく変わる。体験が変わるとなれば、デザインも変わる必要があります。『Fabric Tokyo』は、リアルと連動したサービスだとお客様に認知してもらうことも必要になり、森さんと相談しましたよね。

森さん:相談した結果、ウェブサイトを再びリニューアルすることになったんですよね。あれも大変でした(笑)

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(株式会社ルート代表取締役 西村和則)

西村:リニューアル前のウェブサイトは、商品ページに直接ランディングする導線設計でしたが、「カスタムオーダー」というコンセプトを知らないままお客様が購入してしまうという課題がありました。リニューアルにはお客様の認知の向上という目的もあったので、サイトのトップで「カスタムオーダーとは」「なぜFabric Tokyoがやるのか」といったコンセプトを提示し、コンセプトを理解したうえで商品を見てもらう設計に変更しました。

森さん:コンセプトを理解してもらうのは、かなり重視しましたね。うちの特長は、一回店舗に来てお客様に信頼してもらえば、2回目以降店舗でもオンラインでも買える選択肢を提供できること。安心して購入できるという信頼と利便性の両方を提供することで、お客様の購買体験向上につながると考えています。そのためにも、今年は店舗を踏まえたUIの改善とUX向上に注力する1年ですね。

西村:これからは、実店舗でサービスに触れてもらった人にどうリピートしてもらうか、ウェブとリアル店舗の関係をどうスムーズに繋げていくか、を考えながらサービス設計していくことが必要です。ポップアップストアも積極的に展開しているので、リアルとウェブの導線はより深く考えていかなければいけません。

古里:店頭で接客ツールとして使っているiPad用にも、新たなUIも考えていきたいですね。今はウェブサイトをそのまま使っていますが、ウェブと店舗では体験が異なりますから、UIも違ったほうがいいはずです。

お客様の課題こそが全ての原点

古里:最近では、徐々に日本でもカスタムオーダーを展開する企業が増えてきましたね。

森さん:大手も参入し始めました。ただ、うちはあまり競合を気にしていないんですよ。というのも、うちはインターネット企業であるとともに、製造小売りを行うメーカーでもあるからです。メーカーの場合、1社がマーケットを独占することは稀です。

古里:たしかに。アパレルのメーカーでマーケットを独占しているという話は耳にしません。

森さん:多様な企業がそれぞれ異なるお客様を抱えており、棲み分けているところが多いのです。マーケットは衣食住の分野で非常に大きく、海外も含めて考えれば成長可能性もまだまだあります。だからこそ競合を気にせず、目の前にいるお客様にフォーカスして、改善を続けていくことが重要だと考えています。

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(株式会社ルート UIデザイナー 古里)

古里:そうですね。ユーザ視点で考えれば改善すべきことはいくらでもあるはずです。そう考えると、デザインには終わりがないですよね。

森さん:デザインも、やることは山積みですね。弊社のビジネスはビジョナリー型ではなく課題解決型だと考えています。淡々と、お客様のニーズや課題にフォーカスしてプロダクトを作っていく。

西村:それはうちも一緒ですね。課題解決こそがデザインの役割ですから。課題をベースに考えることで、はじめて機能やデザインは効果的に働きます。機能もデザインも、課題の設定、つまり目的を定義することが一番大事になります。向かうべき方向が見えないと、それを叶える手段は見つけられません。

数字を見据えたデザイン

西村:サービスのデザインに関して、どのように効果をみてらっしゃいますか?

森さん:「数字は嘘をつかない」という視点でデザインを見ることはありますね。数字は嘘をつかないですが、自分の感覚は嘘をつきますから。感覚的に良いデザインだと思っても、それで数字が伸びなければ事業としてはダメです。デザイナーにとっては大変な話かもしれませんが。

西村:私も、デザイナーも数字を見なければならないと思います。デザイナーは、作って出して数字をみることをひたすら繰り返すしかない。自分の狙い通りに数字が出るか、出なかったとしても、デザインを繰り返すことで自分の感覚と実際の数字のずれを調整できます。つまり、何を出せばお客様に刺さるかが見えてくる。

森さん:デザインが、お客様にとっての課題解決につながれば、結果的に数字はついてきます。解決されたことを証明してくれるのが数字なのです。優秀なデザイナーや活躍しているデザイナーは、数字の取れるデザインをしっかりと出せる人ですよね。

西村:あとは、今後は広義のクリエイティブディレクションやアートディレクションも大事になってくると思います。戦略的にデザインを行うことはこれから必須になってきます。

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前編 【前編】カスタムオーダーをより身近にする『Fabric Tokyo(旧Lafabric)』を支える、事業フェーズに応じたデザインパートナーのあり方

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