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新規事業立ち上げから事業に伴走、フリーランスマネジメントシステム「pasture(パスチャー)」の事例

rootは、2017年10月よりエン・ジャパン株式会社が提供するフリーランスマネジメントシステム「pasture(パスチャー)」​のデザインパートナーとして伴走しています。プロダクトやサービスが、あるマーケットに適合する状態である「PMF(プロダクトマーケットフィット)」前から事業に携わり、フェーズの変化に応じて関わり方を変えながらコミットしてきた様子について、プロジェクトに携わったメンバーのインタビューをお届けします。

事業の方向性が定まっていないフェーズから伴走

塩見拓己さん(以下、塩見さん):rootさんに相談したときは、プロダクトがまだステルス状態のときでした。今でこそチームには人数もいますが、プロダクトの仮説検証段階で、人数も少なかった。まだ事業としてどうなるかわからない段階からの相談でした。
デザイナーがチームにはいなかったので外部に依頼する必要がありましたが、事業立ち上げフェーズの不確実性に理解があるパートナーはなかなかいません。rootさんに相談したのは、こうした状況でも一緒に取り組めそうだと考えたからです。

西村:ご相談いただいたときは、まさにroot向きのプロジェクトだと思いました。私たちが目指しているのは、事業成長に正しくデザインを活用し、事業の成長に貢献すること。デザインを取り入れるなら、事業の立ち上げ期からの方が良いですから。サービスのコンセプトにも共感していたので、ぜひ長期的に伴走させていただきたいとお伝えしました。

塩見さん:事業の方向性も定まりきっていない中、「一緒に模索しながら良いサービスにしていきましょう」と言ってもらえたのは心強かったですね。サービスの特定のページや機能のUIを作り込んでもらうのではなく、議論を重ねながら柔軟にその都度やることを変えていく進め方だったのも、私たちにはあっていました。

西村:rootは伴走しながら事業のフェーズに合わせて関わり方を変えていくスタイルで事業の成長に貢献しています。その関わり方も含めて選んでいただけたのは嬉しいですね。

塩見さん:僕らはフリーランスマネジメントシステムを提供しているので、パートナーと組みながら、いいプロダクトを作っていきたいと考えていたのもありますね。それを考えたときに、rootさんはいい距離感で仕事ができると思いました。

rootさんは新規事業開発室で技術顧問をしている工藤さんと前職で一緒に働いた実績もあって。これまでも複数事業の立ち上げサポートを経験されていて、実力に対する信頼もあり、正式に依頼させてもらいました。

使われるサービスを目指して、とにかく開発速度を上げる

西村:最初にご相談いただいたときは、まだ「pasture」というサービスは構想段階でしたね。たしか、サービス名も違うものでした。

塩見さん:当時、サービス名は違いましたね。まだ開発を始めて3〜4ヶ月ほどしか経っていませんでした。それもあって、外部のパートナーに依頼する段階ではないかなと迷っていたんですよ。ただ、後になって相談して「このタイミングだと難しい」となるよりは早めに相談したほうがいいなと。

西村:早めにご相談いただけて助かりました。後のフェーズから入る場合、重要な企画や技術要件にデザインを取り込むことができず、本質的な改善がしづらいことがあります。早期にご相談いただいたため、私たちができることの幅が広がりました。

塩見さん:柔軟に対応いただけて助かりました。他の会社に相談したときは「もうちょっと事業として道筋が見えてから」「初期フェーズでももう少し予算がないと難しい」といった回答をいただいていたので。当時は社内検証中で、サービスも開発をお願いしているソニックガーデンさんが実装した機能があるだけでした。

西村:とにかく開発速度をあげることを優先していた時期ですよね。ローンチするのを優先して動いていて、私たちは既存のUIを調整したり、サービスロゴやティザーサイトも作ったりしていました。

塩見さん:rootさんと課題と解決方法を議論して、ソニックガーデンさんに実装してもらう。実装してもらった機能がユーザー体験的に問題なさそうかをrootさんに相談するというスピード感を重視する動きで検証を進めていきましたよね。

西村:スピード感を意識してリリースしていかなければ事業として成り立ちません。機能を重視して進めるのは当然です。機能が先行する開発によってユーザー体験が損なわれていたら、デザインでサポートしようと考えて伴走していました。デザインをきっちり作り込んでいたら、動きが鈍くなってサービスが死んでしまいます。だから、まずは使われるサービスとすることを目指していました。

フェーズに合わせて柔軟に対応できるように

塩見さん:西村さんのおっしゃるように、事業としてどう立ち上げるか、PMFをどうするのかが重要でした。予算や納期、開発組織の作り方など、PMFに最適化して諸々整備していました。体制をPMFに合わせて整えたいという気持ちはソニックガーデンさんもrootさんも共有して。

ユーザーの声を聞いてるのは私たち。ユーザーの声を受けて、これからどうしたいか、どのような価値を届けたいかを2社に伝えるコミュニケーションは強く意識しました。プロセスの難しさや制約は無数にありましたが、「こうしてほしい」と伝えるとrootさんも最大限合わせてくださったので助かりました。

PMFするまでのプロセスにおいて、サービスにとって最も良いアウトプットを出し続けてもらってきました。「助かるね」と社内でもよく話していたんです。

西村:それは嬉しいですね。最初は、機能要件に対してインターフェイス化する部分でアウトプットを出して、確認してもらう流れでした。PMFに向けたフェーズの後半になるにつれて、ユーザー体験を考えるなど徐々に上流から関わることになっていきました。後半では、作成いただいたワイヤーフレームからそのままインターフェイスを作るのではなく、議論したり図式化して遷移構造を提案したりして。提案も含めてアウトプットしていたと思います。

塩見さん:一緒に考えていただけて助かりました。pastureのPMF前フェーズの進め方は先進的でリモートスタイルでした。開発を基本リモートで進めていたのに合わせて、デザインも基本リモートで進行していたので、当時はまだ慣れない面もありましたが、試行錯誤しながら効率よく仕事を進めていきました。当初は、開発とデザインで完全に会議を分けていたこともあり、意見がズレることもありました。ズレが感じられたときは、3社でオフラインで集まってコミュニケーションするなど、随時調整をしながら進めていく。

西村:リモート中心だったので、ドキュメントを残す文化が最初から根付いていたのはよかったですよね。チケットでのタスク管理も徹底していたので、私たちとしてもアジャイル型のデザインの進め方の型ができました。アジャイル開発と同様に、チケットでやりたいことの優先度をつけて、一週間の中でどこまで消化するのかの見積もりを立てて、目的の言語化をしながらタスクを進行していきました。

塩見さん:基本はリモートスタイルで進めていき、関係構築を目的とした場や合宿といった機会はオフラインで実施しました。目的に応じて、適切なコミュニケーションスタイルを選ぶなど、柔軟に進められましたね。PMF後は、すぐ話したいときのコミュニケーションを強めたほうがいいよね、という話になったので対面機会も増えましたが、現在でも基本はリモートスタイルで進めています。

事業成長に伴う組織拡大に備える

西村:直接会う機会がほとんどない中でプロジェクトが進行できたのはユニークでしたよね。PMF後は定期的に集まって目線合わせを行っていますが、PMFまでは事業としてクオーターごとの目標を設計する機会も少なかった記憶があります。

塩見さん:2018年1月からプロジェクトがスタートして、PMFするまでには1年ほどかかりました同年10月にはPMFが見え、サービスが拡大できそうな手応えを得られました。その頃、改めて事業としての目標を設定定めた目標をソニックガーデンさんやrootさんにも共有し始めたのは2019年4月からでしたね。

西村:目標を決める前にはビジョンやミッションも決めたものを共有いただいていましたね。

塩見さん:2019年の1月ですね!事業のビジョンやミッションを策定しました。4月からは定量目標も設定して、組織も拡大し始めた。PMFまで社内の人数は3人だったのが、PMF以降は7〜8人になって。社内のエンジニアとデザイナーもチームに入ってきて。組織の規模は一気に大きくなりました。関係者が増えたことで、負荷も増えてしまって。。

西村:事業成長に伴った組織拡大の弊害ですね。PMF以降は、開発が目の前のイシューにとらわれる場面も増え、プロダクトが飛躍できていない印象がありました。一回、思考の枠をはずして、理想とする状態からバックキャストして、今何をつくるべきかを考えたほうがいい。そう考えたので、理想を描くワークショップを実施しました。

山本真平さん(以下、山本さん):ワークショップ前は、捉え方がいろいろできる言葉でミッションを考えていたので、どういう意味なのかがメンバー間でも認識がずれていたんですよね。「発注とは?」「共創とは?」をそもそも考え、自分たちが目指したい世界はどのようなものなのかを発散して、rootさんにまとめてもらいました。

塩見さん:前から「発注」という言葉はチームでも使っていたんです。ですが、それぞれが「発注」という言葉に対して考えていることが違うというのが、ワークショップによって可視化されました。

山本さん:ワークショップを実施したことで、ミッションへの解像度はより上がり、言語化もできた。言語化したものは、プロダクトチームだけではなく、ビジネスチームにも共有して、より事業が目指す方向をチーム全員で共有しやすくなりましたね。

塩見さん:即効性がある打ち手ではないと思っています。ただ、組織が成長しても立ち上げ時と同じ一体感をもつことができました。その後、メンバーが増えても空中分解をすることなく、同じ方向を向けるようになったと思います。

西村:私たちとしても、プロジェクトのメンバーが増えていく中で、中心にいるメンバーが考えていることをワークショップを通じて知ることができたのはよかったですね。理想のpastureを考えた結果、それが人それぞれだった。イメージしている未来が違うことを認識して、どうしようかを考えられました。

複雑化する課題を整理し、解いていく

塩見さん:PMF後、悩んでいたんですよね。PMFまでとにかく必死に走って、次が見えてからrootさんに何をお願いするか、僕らの中で課題感を整理できてなかったんですよね。現サービスもユーザーが求めるワークフローにはなっているけれど、果たして今の体験で良いのかという整理が必要になってきて。このあたりの課題を、rootの古里さんに整理してもらいました。整理、可視化いただいたことで、全体の体験を整えていくフェーズになったんだなと気づけた。

古里:PMF前は直接、やりとりすることはなかったのですが、社内でpastureのプロダクトの課題感を聞いたり、アウトプットのレビューをしていました。pastureについての理解が一定ある状態でプロジェクトに入れたので、技術的な制約があることはあらかじめ知っていました。

プロダクトが複雑になると、どうしても課題も複雑になります。課題が根っこで絡み合ってしまう。なので、一度課題の粒度を整理して、どれを対処しないといけないかをプロダクトのビジョンやロードマップも踏まえながら整理していきました。

塩見さん:根っこに解決しないといけない課題が山ほどあって、取り組まないといけないと頭ではわかっていたのですが、着手するのが難しくて。企業側、パートナー、会計システム、上長の承認のための社内統制など、ひとつのプロダクトに様々な側面がある。知らないうちに課題が蓄積していました。複雑ではありますが、この領域の課題を解いているサービスはありません。整理いただいたことでそれが再確認でき、しっかり複雑な課題に向き合おうというマインドセットになれました。

古里:事業が拡大していけば、解くべきものは増えます。そうなったとしても、社内で課題の原因がわかるようになって、チームの人に共有されていれば解いていくことができます。

そのために、課題をモデル化したり、フレームワークにしたりといったことをこれまで実施してきました。次は課題をpastureのチームのみなさんに理解してもらって解決してもらい、ユーザーにまで価値を届けられているという実感を作りたいですね。

塩見さん:振り返って考えても、デザイナーが立ち上げフェーズから関わってもらえたのは良かったですね。もちろん、まだやりきれていないことはあります。大事なのはユーザーに価値を届けること。そこのスピードを上げたい。今後も、デザインパートナーとしてrootさんに伴走していただきながら、ユーザーに価値を届けていきたいと思います。

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