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MITが開発した「未来を予感させる」3Dディスプレイとは?!

とうとうディスプレイが3次元になる日がやってきました。
これまでにも特殊な眼鏡を使用したり、視差障壁など錯視を利用したりする3Dディスプレイは存在していました。
しかし、今回MITメディアラボの石井研究室で公開されたinFORMは、正真正銘、物理的に3Dのインターフェイスなのです。

ディスプレイの「向こう側」からアクセスする

石井研究室が公開したinFORMのディスプレイ本体は、機器の下に並ぶたくさんのプラスチックの白い棒です。基本的な仕組みは、約900本の棒が上下することで、空間に立体的な形を描き出す構造です。

しかし、inFORMが凄いのは、高感度カメラが取得した立体物の形状を、瞬時に立体として「再現」するだけではなく、他の物体とinFORMを通じて操作できることです。

この2つを組み合わせることで、物やグラフを投影させたり、モニター画面の向こう側にいる人物の動きをキャプチャーして、ディスプレイ上に乗せられた物体を動かすことができるのです。
これによって、ここに存在しない人間がまるでそばにいるかのようなバーチャルとリアルが混在した表現が可能になったのです。

inFORM – Interacting With a Dynamic Shape Display from Tangible Media Group on Vimeo.

将来的なUIデザインへの活用

inFORMの画期的な発明によって、将来、このテクノロジーがスマートフォンやタブレットのUIデザインに大きな影響を及ぼすことは想像にし難くありません。

インターフェイスは、いずれ平坦なピクセルだけで表現されるものではなくなり、時間や空間といった新しい軸を取り入れたものに進化していくのではないでしょうか。今は主流の2次元タッチスクリーンが空間に広がる3次元のインターフェイスに取って代わられる日も近いかもしれません。
デザイナーに求められるのは、既存のハードウェアの範囲を遙かに超えた新しいアイデアになることは間違いないでしょう。

「アトムからビットへ」から「ビットからアトムへ」

inFORMのテクノロジーが先鋭的なのは、画面の向こう側とこちら側が相互に影響を与え合うことです。それも物理的にアクセスできることに尽きます。

およそ10年前、MITメディアラボの名誉会長二コラス・ネグロポンテ氏が高らかに「アトム(物)からビット(情報)へ」とデジタル時代を宣言した同じ場所から、逆の「ビット(情報)からアトム(物)へ」の相互アクセスを可能にするデバイスが開発されたのは不思議な縁すら感じます。

「ビットからアトムへ」の動きはinFORMだけではありません。話題の3Dプリンターもそのひとつです。inFORMや3Dプリンターなどが生活に浸透すれば、モノづくりの世界は一変します。限定されていたビットがフリーになれば、アトムが変わり、世界はますます身近になることでしょう。今後、ますますこの動きは加速するはずです。

社会を変革するテクノロジー

ただ、このinFORMは、まだ誕生したばかりのデバイスですから、最終的にどのような形で着地するかは未知数です。もちろん、デバイスの大きさや解像度などクリアするべき問題は多々ありますが、inFORMを活用することで、将来的に遠くはなれた家族が文字通り「触れ合う」ことができるようになるかもしれません。

また、モニターの向こう側にいる患者に触れることができれば、医師の少ない過疎地でもより高度な医療を受けることも可能になります。さらには、一人暮らしの高齢者の見守りに応用することもできるでしょう。

inFORMがコミュニケーションのあり方を変え、社会そのものを変革する日が来るのもそう遠い話ではないのかもしれません。inFORMがどのように進化するか目が離せません。

  • 参考:Tangible Media Group/inFORM
  • MIT Invents A Shapeshifting Display You Can Reach Through And Touch
  • クリス・アンダーソン『メイカーズ』
  • 画像: photo credit: Photo Extremist via photopin cc

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