西村 和則
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プロダクトマネージャの役割とは?

ユーザーに適切なプロダクトを届けるために、チーム(と会社)のサポートをすること

もう少し細かく言うと:

1)チームのサポートをする

優秀なプロダクトマネージャは、チームをサポートすることに最も時間を割いています。
優先していることは(a)コーディネート — チームが、明確な目的を持ち、効率良く、計画をたて、物事を決定し、きちんとみんなが協力するように調整します。そして、(b)コミュニケーション— チームにいる全員が、物事がいつどんな理由で起こるのか把握しているようにします。物事は必ず変化するものなので。
補足:”チーム”とは、デザイナー、エンジニア、品質管理、ドキュメンテーション、マーケティングなどプロダクトに直接関わる人々から、事業開発、サポート、法務などプロジェクト全体に密接に関わる人々を指します。
よく、プロダクトマネージャというと、プロダクトのCEOや、オーナーと思われがちですが、これは、正しいとは言えません。優秀なチームとは、プロダクトがチーム全体の所有物だという意識を持ち、全員がアイデアを出し合い、そのアイデアを実現していく状態にあります。
優秀なプロダクトマネージャとは、チーム全員のアイデアを基に重要な意思決定を調整することです。プロダクトマネージャの責任は、意見が対立したときに、合意形成にもっていく(もしくは最低限、チームのみんなが計画にコミットしているようにする)ことが仕事です。チームの目的は、プロダクトマネージャが正しいと思うものを作ることではありません。これは、プロダクトマネージャーが自身のアイデアを持つなということではなく、盲目的にプロダクトマネージャーのアイデアを実行するチームを見つけることが目的なのではない、ということです。優秀なプロダクトマネージャは、チーム全員が合意し、優先順位をつけて決定するプロセスを作ります。
チームをサポートするということは、長い会議の後に要点を書き出したり、チームが合意したことや、計画を文書で示すことです。私の経験では、会議自体より、会議の要点をうまくまとめて書く方に時間がかかることがありました。また、プロダクトマネージャの仕事には、ユーザにプロダクトを届けるために、より大きなチームの人々と協力し、彼らからフィードバックを得たり、計画を共有したり、計画への障害がないようにするという作業も含まれます。Twitterでは、この大きなチームをACT SOLID(Analytics(分析)、 Communications(コミュニケーション)、Trust/safety(安全)、Support(サポート)、 Ops(オペレーション)、 Legal(法務)、International(国際)、Design(デザイン))と呼びました。
エンジニアはコーディングをし、デザイナーはモックとグラフィックを作成しますが、プロダクトマネージャが実際に目に見える物を生み出すことはありません。しかし、チームとプロダクトの成功は、プロダクトマネージャの腕にかかっています。

2)会社のサポートをする

プロダクトマネージャとして、所属する会社全体のゴールと目標を理解し、あなたのチームが会社全体のビジョンに一致しているかどうかを理解しておくことが重要です。私が今まで出会ったり、一緒に働いた経験のある優秀なプロダクトマネージャたちは、その点に長けていました。彼らは、創業者のビジョンについて頻繁に話し、チームがそのビジョンの実現に向かうようにしています。プロダクトのゴールを目指すことが、会社全体の目標達成をサポートすることだとはっきり理解しています。
本人が個人的に重要だと思うことを実現するのではなく、チームは他のチームと協力して会社のサービスの一部であるという考えを持っています。私が、プロダクトマネジメント職の面接の際に重要視するのは、候補者が企業のビジョン、とくに創業者、CEOやグループのVPのビジョンについてどれくらい言及するかと、その候補者のビジョンについて。「チームのサポート」の項目と同様で、これはプロダクトマネージャーたちは自分のアイデアを持つべきではないということではありません。自分たちのアイデアを会社のビジョンやゴールに変換できるようになるべきで、それによってアイデアを実現するために確実にトップダウンのサポートを受けられるようにするということです。

3)ユーザにプロダクトを届けること:

ユーザにプロダクトを届けること以上に大切なことはありません。チームをサポートし、素晴らしいものを作り上げ、適切なプロダクトを見極め、ビジョンを実現することができても、チームがプロダクトを発送する段階にたどり着かなくては全く意味がないのです。
素晴らしいプロダクトマネージャは、適切なプロダクトを実現することと、そしてそれを世に送り出すタイミングを把握しています。
プロダクトを実現するために、チームは常にテストし、プロダクトを試し、初期段階のフィードバックを参考にするでしょう。しかし、プロダクトを世に送り出すかどうかを決定しなくてはいけない時期がすべてのプロジェクトに訪れます(もちろん本当に準備万端になることはないのですが)。チームが明確なゴールと目標を持ち、ユーザにどう使って欲しいかということを理解していれば、最終的折り合いをつけることができます。優秀なプロダクトマネージャは、チームがプロダクトを完成に持っていくことをサポートするのです。

4)適切なプロダクト:

プロダクトを世に送り出すことが重要であると同時に、優秀なプロダクトマネージャは、適切なプロダクト作りのためにチームをサポートをします。まだ存在していないものを作り上げることは楽しいものですが、決して簡単なことではありません。ユーザのニーズを満たす適切なプロダクトを作ることができるかどうかは、チームのクリエイティブさにかかっています。優秀なプロダクトマネージャは、何が適切か不適切かを理解し、初期段階のテストのフィードバックを適切に聞くことができます。創業者や他のリーダーから、開発しようとしているプロダクトが適切かどうか意見を聞くことに優れています。
さらに重要なことは、一度出荷されたあとに、優秀なプロダクトマネージャはそのプロダクトが適切だったかどうかを評価します。チームと密接に動いてプロダクトにとって適切なタイミングを計り、ユーザがプロダクトを本当に使っているかどうかという疑問に答えなくてはなりません。プロダクトが世に出た後、データを隅から隅まで分析し、どこが機能しどこが機能していないかチームが把握するためにサポートするのです。そして、チームとともに、改善とさらなるテストのプランを素早く練り上げます。

5)ユーザのために:

プロダクト製作時に最も難しい段階は、コアとなるユースケースをはっきり把握することです。プロダクトを誰が、なぜ使うのかという視点で話ができなくてはなりません。優秀なプロダクトマネージャは、プロダクトに関する意思決定を行うときに、ほぼ常にユーザの代弁者とならなくてはいけません。
ユーザの代弁者となるには、ターゲットユーザを深く理解していないとできません。ユーザの課題は何なのか、ユーザがプロダクトに求めている価値や喜びを深く理解する必要があります。優秀なプロダクトマネージャは、使用感のテストに対する意見や、ユーザに直接会ったり、emailやtweetをチェックしたり、会社内の担当者の話を聞くなどを通して、ユーザのフィードバックに常に耳を傾けています。本当に優秀なプロダクトマネージャは、チームが適切なプロダクトを作り上げるために、ユーザのフィードバックという重要な情報を、プロダクトのビジョンに取り入れます。
しかし、ユーザ全てにふさわしいプロダクトは存在しません。それは真実です。そこには、よりよいプロダクトを作るために、継続して開発していくプロセスしか存在しません。最も優秀なプロダクトマネージャとは、気合を入れて、チームが冒険を手助けする存在なのです。

目次

最後に

この記事で振られているプロジェクトマネージャーの役割はチーム内でのコミュニケーションのサポートから、プロダクトの核となるユーザーの声を拾い、代弁者となる重要な役割も担っています。
サービス開発の現場では、ビジネス、開発、デザインこの3つの役割がよく取り上げられますが、この3つをスムーズに回す潤滑油のような存在がプロジェクトマネージャーの役割ではないでしょうか。
チームとして1つのゴールを目指し上手く連携していくためには欠かせない存在と言えるでしょう。
もしあなたのチームにプロジェクトマネージャーが存在しない場合は、あなた自身がその役割の一部をトライし、担ってみることをオススメします。
なぜなら初めからプロジェクトマネージャーを担える人は存在しないからです。
プロダクトを理解し、チームを理解し、ユーザーを理解する。
その結果が、優秀なプロジェクトマネージャーへと繋がるのではないでしょうか。
翻訳元:A Product Manager’s Job
著者:Josh Elman
翻訳:Kanako Baba]]>

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西村 和則

代表取締役

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root 代表取締役 事業成長を実現するためのデザインをお仕事にしています。 プロダクト戦略、組織デザイン、UI/UXデザインが主な守備範囲です。 2歳児の父。子育て奮闘中。

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