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フラットな文化を最大限活かす、柔軟さと効率化のバランス感覚。「KARTE RightSupport」新規事業立ち上げに伴走

rootは、カスタマーサポート(以下、CS)領域に特化したプロダクトを提供する株式会社RightTouchの新規プロダクト開発を支援しています。同社は、顧客体験プラットフォーム「KARTE(カルテ)」を提供する株式会社プレイドのグループ会社として、2021年12月に設立。2022年3月より「KARTE RightSupport(以下、RightSupport)」を提供しています。

今回は、設立前からプロダクト開発に伴走してきた、RightTouch取締役で事業責任者の長崎大都さんと、取締役でプロダクトの設計・開発を担う籔悠一さんに、RightSupportの立ち上げについて話を伺いました。

「柔軟さ」と「効率化」を行き来し、フラットな組織文化を最大限活かす

実績紹介記事はこちら

root鈴木、庄野を含む4名で、プロダクトの立ち上げから現在までを振り返ります。

「横に座って一緒に考える」パートナーが必要だった

長崎:RightSupportは、CSをサポートするプロダクトです。何らかの課題を抱えた「問い合わせ前」の顧客に対し、オンライン上で自己解決に導くものです。親会社であるプレイドが提供する「KARTE」を運営する中で見えてきたCS領域の課題に対しアプローチすべく、RightTouchという別会社のもと新たに立ち上げました。

RightTouch 長崎さん

籔:開発がはじまったのは、2021年10月頃。当時はまだ別会社になる前でしたが、私と長崎の二人でプロダクトの設計を始めました。

まずは、解決したい課題やコンセプトを定め、ワイヤーフレームを書き始めたのですが、早々に課題にぶつかったんです。それがデザインでした。私はエンジニア、長崎はプロダクトマネージャーの視点でプロダクトを考えていたのですが、デザイナーの目線がないと良い仮説を立てられないと感じたんです。

長崎:私は以前KARTEのカスタマーサクセス職を経験しており、BtoBでの顧客ニーズはある程度把握できている自負がありました。しかし、RightSupportはBtoBtoCのサービス。エンドユーザーの課題や要望に対する解像度が必要だったんです。そういう意味でも、何をやるべきか、どのような体験を作っていけばよいかを考えるためには、デザイナーが不可欠だった。

そうした背景のもとお声がけさせていただいたのがrootさんでした。

鈴木:プレイドのデザインチームの方がroot代表の西村と知り合いで、そこからのご紹介でしたね。お二人ははじめましてでしたが、当初の印象はいかがでしたか?

長崎:会社としてのスタンスを伺ってすぐ、ご一緒したいなと思いました。rootさんは、「このデザインを作ってください」と言われて作るのではなく、一緒に議論を重ね伴走しながら進めるというお話をされていたと記憶しています。

当時はまだプロダクトの影も形もないような状態。そこでご一緒するからには、不確実性が高い中でも「横に座って一緒に考える」ようなスタンスが重要になると考えていました。その意味で、まさに我々が求めるスタンスを持たれているのではないかと感じたからです。

フラットだからこそ、柔軟な伴走を

鈴木:実際、rootがプロジェクトに入ったのは11月頃でしたが、当初驚いたのがフラットさでした。もちろん、我々自身も悪い意味での「クライアントワーク感」を出さないような姿勢は常に意識しているのですが、RightTouchさん側がかなり対等に扱っていただいたことを記憶しています。

root鈴木

長崎:プレイドを含め、我々は元々一緒に仕事をするメンバーとはフラットな関係であることを重視する文化があります。それは、社員であるか業務委託であるかは関係ありません。鈴木さんには「私たちが作ったものをどんどん否定してほしい」くらいの気持ちがあった。それが接し方にも出ていたのかもしれません。

また、立ち上げ期は日々前提が変わり続けます。一つの意思決定によって、プロダクトの仕様が大きく変わることも珍しくない。その状態で「やっぱりこうしてください」と受発注関係のように要望だけを伝えていては、認識の齟齬やモヤモヤが積み重なってしまいます。だからこそ、「なぜ変更すべきか」が見えるくらい、意思決定の前提段階から一緒に動きたいと考えていました。その点、rootさんは先ほど話したような「横に座って一緒に考える」スタンスがあると期待していたので、そのつもりで動き出していたのだと思います。

鈴木:ありがとうございます。私たちとしても、そうしたスタンスで迎え入れていただいたからこそ、心理的な距離を置かずに接することができたと感じます。アジェンダなしでも議論したり、外部ながら1on1で密に認識を共有したり、時には食事の場でも熱量高く話し合ったり……。振り返ると、フラットが前提だったからこそ成立していたと感じる場面はいくつもありました。

RightTouch藪さん

藪:逆にrootさんから見て、RightTouchのメンバーは当初どのように映っていましたか?

鈴木:先ほどお話しした「フラットさ」がやはり一番大きいですね。

これは進め方にも表れています。rootでは普段、プロダクト開発を効率化させるべくデザインプロセスを導入することが多いんです。ただ今回の場合、フラットであるがゆえに、型にはめたり明確に言葉やドキュメントに方針や思考を落としたりせずとも、「議論しながら作っては壊す」を繰り返す方が効率が良かった。

当初はプロセスを導入しようと考えたのですが、早々に進め方をアジャストさせていただきました。これはフラットかつチームとしての動きが強くなければ、実現できない方法でした。

籔:「最初から正しいものは作れない。まずは作って考えよう」という前提で、本当に数多くの「作っては壊す」を繰り返していましたからね。

スピードと効率化のバランス感覚

鈴木:ただ、その中でも型にすることで効率化できる部分は、少しずつご提案させていただきましたね。例えば、PRD (プロダクト要件仕様書)を作り、どの機能と体験が重要なのかの優先順位付けなどはその一例かと思います。

長崎:当時は、機能要件などはホワイトボードに書いてあるものを参照するくらいで、ドキュメントなどに落とさず進行していましたからね。ただ、実際にPRDを作ってみると、共通言語が生まれてコミュニケーションがよりスムーズになりました。

鈴木:創業期のように、まだ人数が少なく前提が暗黙知で共通できる状態であればまだ良いのですが、プロダクト開発のフェーズが進んだり、後から入社したメンバーが増えると、そうした前提の共有が開発や事業のボトルネックになりやすい。後々のコミュニケーションを円滑にするためにも、一定のドキュメント文化は後々に効いてくると考えています。

長崎:庄野さんがジョインされたのは1月からでしたね。その頃にはすでに開発が絶賛進行中。前提情報の差もかなり生じやすい時期だったと思いますが、早々にキャッチアップいただき勢いが増した記憶があります。

庄野:実は当初のキャッチアップは、かなり意識的に動いていたんです。先ほどの話ではないですが、それまでの事業背景や言語化されていない暗黙知、共通理解がそれなりにあるのは明らかです。その上、みなさん「作っては壊す」を前提にされているように、考え手を動かすのがとても速い。

会議内の議論も、背景からモデル、UIと抽象度の異なる論点を行き来しながら話が進み、前提をインプットしつつ議論についていくだけでも精一杯だったので、会議の後には毎回rootメンバーだけで別途会議内容を咀嚼する時間を設けるなどしていました。

リリース後も変わらず。より深い顧客理解の求められる領域へ

長崎:そうしてリリースにこぎつけたのが3月でした。ただ、当然そこで終わりではありません。ユーザーに触れてもらうことで見えた課題も数多くあり、その優先度や重要度を整理しつつ、今も形を変えながら「作っては壊す」を繰り返し続けている感じですね。

庄野:最近は、特にドメインのより深い理解が必要なことも増えてきました。顧客と直接対峙することから得られるフィードバックが重要になってきていると強く感じます。

籔:そうですね。なぜ問い合わせを削減したいのか、なぜそれがボトルネックになるのか、ツールを使っているときの顧客画面はどうなっているのか、企業内のユーザーがどのようなオペレーションで働いていて、どうツールを使っているか……インプットすべきものは尽きることがありません。まだまだ新たな発見があり、解くべき課題も生まれ続けています。

鈴木:ちょうどいま取り組んでいる新機能もまさにそうした背景からのものですね。

籔:はい、CSのオペレーションや架電前のユーザーの行動を踏まえた上でのアプローチなので、顧客理解が深まったからこそ取り組んでいるものですからね。

庄野:組織面では、11月からはデザイナーのメンバーも増員されました。デザインをこれまで一手に担ってきたrootとしては、これまでの前提情報をインストールさせていただきつつ、価値発揮しやすくなるような土台を作っていきたいと考えています。

鈴木:着実にフェーズが変わってきつつありますね。最後に、この1年弱を振り返り改めてrootとご一緒した印象を伺えますか?

籔:まだ影も形もない開発初期から入っていただけて本当に良かったと思います。rootさんは、「これを作ってください」と依頼するのではなく、同じチームの一員として一緒に進んでくれる。文字通りパートナーなんです。私たち自身そういった関係性を望んでいたこともあり、初期の難易度の高い時期からご一緒できたのは嬉しい限りだと感じています。

長崎:議論の内容から仕事の進め方まで、rootさんは常にサービスのユーザーを第一に考えていることが伝わってきました。クライアントワークの場合、どうしても「目の前のクライアントに評価される」という意識を持たれる方も少なくありません。ですが、rootさんはその先にいるユーザーを見据えて、考えながら動いてくれる。まさに、「横に座って一緒に考えてくれる」存在です。

鈴木:ありがとうございます。これからも、まだまだ向き合って行くべきテーマが数多く存在すると思います。引き続きよろしくお願いします。

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