- date
- 2021.12.07
事業成長のためにデザインする。rootが注目したサービスやプロダクトをピックアップ-Discord-
今月も、rootのデザイナーたちが気になったサービスを考察しました。今回は「Discord」についてです。事業成長に伴走するデザイナーが日頃、どのような視点でサービスに触れているのかをご紹介します。
目次
Discordはあらゆるコミュニティが使えるコミュニケーションツール
Discordは、PCやスマートフォンで利用できるボイス・ビデオ・テキストコミュニケーションサービスです。アメリカで開発され、2015年5月にリリースされました。2019年5月時点で、ユーザー数は2億5000万人に達しています。
特徴は、友達や仲間とゲームをしながらボイスチャットやテキストチャットができることです。また、誰でも完全招待制のサーバーを作ることができるため、クローズドな空間でコミュニケーションを楽しめます。当初Discordのブランディングイメージは「ゲーム専用グループチャット」でした。しかし、ゲーム以外にも活用するユースケースが増えていることから、2020年7月に「あらゆるコミュニティが使えるコミュニケーションツール」へ変更されました。
Z世代になぜDiscordが人気があるのか?
今回はZ世代のDiscord利用時間が増えているという状況をみて、DiscordがなぜZ世代に人気があるかについて考察を行いました。
2020年3月、Z世代において「LINE」や「Discord」の利用時間が約130~140%増加(前月比)
https://markezine.jp/article/detail/34695
考察の結果、Z世代の間ではDiscordで一緒にゲームをして友達を作る文化が出来上がっているから、という理由が明らかになりました。
Z世代とはどんな人たち?
そもそも、Z世代とは、おおむね1990年代中盤から2000年代終盤生まれの世代を指します。
Z世代は生まれた時からデジタル機器が身近にありました。そのためネットで友達を作ることに抵抗がなく、むしろそれが当たり前という価値観を持っています。そのため、ゲームをきっかけにネットで友達を作ることもスタンダードになっています。
また、SNSの普及によって関係性が常時つながっているため、ネットでの体験や娯楽が一緒に楽しめるかという観点を重要になってきます。一方で、友人との関係を重視するため、好みを合わせたりするなど、周囲から浮きたくないという同調志向を持っている人も多くいるそうです。
ゲーム仲間から友達へ
Z世代にとっての体験価値として、考察を始める段階で、私たちが最初に立てた仮説は以下でした。
- ゲーム仲間探しができる
- SNSのようなオープンなものとは異なる、クローズドな空間で友人と気軽に会話を楽しめるようになっている
この二つの仮説に基づいて、調査を進めていきました。調査方法は、TwitterなどのSNSやAppstoreの評価からDiscordユーザーの声を拾い集める、というネットリサーチの手法で行いました。
まず一つ目の仮説、“ゲーム仲間探しができる”については、半分当たっているが、それだけにとどまらない、ということがわかりました。というのもZ世代の人たちは、Discordを使ってボイスチャットなどをしながら一緒にゲームをするのはもちろん、ゲームを繰り返す中で仲良くなり、ゲーム以外の時間も一緒に過ごすようになるケースが多くみられたのです。
また、最初の目的であるゲームはやらなくなってしまっても、同じメンバーでおしゃべりをするために集まっている人もいました。よって、“ゲーム仲間探しができる”という仮説は、Z世代はDiscordをゲーム仲間探しに加えて、友達作りにも使っている、ということがいえそうです。
もう一つの仮説、“SNSのようなオープンなものとは異なる、クローズドな空間で友人と気軽に会話を楽しめるようになっている”については、当てはまっていました。
調査によると、Z世代のユーザーは、招待された人たちだけが見られるボイスチャンネルに自然に集まり、会話を楽しんでいることがわかりました。
ボイスチャンネルとは、サーバー内に作ることができるチャンネルの一つで、チャンネルへ参加することで気軽にボイスチャットを始められます。これにより、わざわざLINEなどで誘って予定を合わせなくても、偶然居合わせた人たちで会話が始まるという、リアルに近い体験をすることができます。
この“SNSのようなオープンなものとは異なる、クローズドな空間で友人と気軽に会話を楽しめるようになっている”価値については、TwitterやLINEなどとの差別化ができているDiscordならではの体験価値といえそうです。
また、さらに調べていく中で、多くのZ世代のユーザーは、Discordを以下のような流れで使用していることがわかりました。
- Twitterでハッシュタグを使いツイートし、一緒にゲームをやる人を募集する
- Discordにサーバーを立てて、日程やゲームルールなどを協議
- Discordで会話をしながら、一緒にゲームをやる
- 満足感を感じ、次の予定(違うゲームや他のコンテンツの場合も)を立てる
- 3→4を繰り返して、どんどん仲良くなっていき、友達になる
始めにゲーム友達を探すのには、ユーザーが多いTwitterを使います。その後、声をかけてくれた人たちをDiscordに招待し、いつゲームを開始するか、ゲームルールはどうするかなどの詳細を決定してから、ゲームを楽しみます。その後何度かこの流れを繰り返し、一緒に会話しながらゲームをすることにより、次第に日常会話や悩み事を話したりなど、コミュニケーションを楽しむ友達になっていることがわかったのです。
Z世代は、Discordをゲームをやることだけが目的ではなく、ゲームを接点として、人と関係を深めることに使っているということがわかりました。
Z世代にとってDiscordでの友達作りが文化に
今回の調査を通して、Z世代の多くの人々が上記の体験の流れで、Discordを使用していることがわかりました。これはいわばDiscordで友達を作ることが文化になっているといえると思います。
まさにブランディングイメージの「あらゆるコミュニティが使えるコミュニケーションツール」がユーザーに届き、価値が発揮されていると思いました。
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