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作ることが目的になっていたチームに、ビジョン策定を通してプロダクトの方向性を示す。「SHIKIN+」新規事業の立ち上げを支援

rootは、マネーフォワードと三菱UFJ銀行の合弁会社・株式会社Biz Forward(以下、Biz Forward)の中小企業向けオンライン型ファクタリングサービス「SHIKIN+(資金プラス)」の新規事業開発を支援しています。

今回は、立ち上げ時のプロダクト開発過程の支援からチームビルディングに至るまで、共に取り組んだBiz Forwardのファイナンス事業本部副本部長プロダクトマネージャー山本隆弘さんと、CTO鈴木信太郎さん、プロダクトデザイナー村松さんのお三方にお話を伺いました。

rootのCEOである西村、デザインプログラムマネージャー山野を含む5名でプロジェクトを振り返ります。

既存事業の経験から生まれた、合弁会社での新規事業

山本:「SHIKIN+」は、企業の売掛債権を買取り迅速な資金調達をサポートする、オンライン型ファクタリングサービスです。2021年に三菱UFJ銀行とマネーフォワードが合弁で立ち上げたBiz Forward社の2つ目のプロダクトとして誕生しました。

背景には、グループ会社のマネーフォワードケッサイで展開していた売掛金早期資金化サービス「マネーフォワード アーリーペイメント」の存在があります。「マネーフォワード アーリーペイメント」で提供していた価値を中小企業に特化した形に進化させ、より迅速な資金調達を実現するのが「SHIKIN+」です。

西村:rootは、もともとマネーフォワードケッサイさんの中でご支援をしていました。「SHIKIN+」のプロジェクトは、そこから派生した形でのご相談でしたね。

鈴木:そうですね。当時はBiz Forwardを立ち上げたばかりで開発人員は私一人の状態でした。デザイナーやエンジニアを集めチームを組成しようとしていた矢先に、rootさんにBiz Forwardへと参画していただく話が社内で挙がったんです。実際、デザインプログラムマネージャーの山野さんにジョインいただいたのが11月頃でした。

山本:最初は、社内用のデータ管理システム開発におけるプロダクトデザイン、プロトタイプ制作をサポートいただきましたね。「まずはサービスを開始させよう」という動きをしており、「マネーフォワード アーリーペイメント」の仕組みを「SHIKIN+」に応用させ、いち早くリリースへこぎ着けようとしていました。

ただ、この時社内は「リリースすること」に意識が強く寄っており「そもそも何の課題を解決するのか」「どんなプロダクトを目指すのか」といった議論があまりできていなかった。それを察知した山野さんは、「プロダクトビジョンを整理しましょう」と進言してくれたんです。

役割を越境し、プロダクトビジョン策定に尽力

山野:ご提案した背景には、私自身が感じた課題感がありました。恥ずかしながら、はじめて「SHIKIN+」を知った時の私は「ファクタリングとは何か?」すら分からない状態で。もちろんジョインにあたっては丁寧にインプットをしたのですが、その過程でBiz Forwardや「SHIKIN+」が何をなしていくのか、何を実現したいのか……といった目的地を深く理解したい、する必要があると思ったんです。

そこから、山本さんとお話をさせていただいたり、ヒアリングを重ねたり、ワークショップを実施したりし、「このプロダクトが、誰の何を助け、その先にどんな世界を実現するのか」というビジョンを少しづつ具体化していきました。そこから順序立てて、どんなプロダクトを作るかを明確にしていったんです。

鈴木:むしろ、あの状況でいきなりプロダクトデザインを任されても動きづらくなかったですか?振り返ると、順序があべこべだったんですよね。「マネーフォワード アーリーペイメント」という先行例が存在していたこともあり、根幹となる部分をあまり深めないまま、プロダクトのプロトタイプやデザインがどんどん進行してしまっていた。

ゆえに、プロダクトが形になりはじめたタイミングで改めて「で、これは誰のどんな課題を解決したいんだっけ?」という部分を考え始めたわけです。ですが、振り返ってみれば、「そもそも論」に立ち返るには最適なタイミングだったと思います。

山本:たしかに、ちょうどチーム内での認識や理解のバラつきが徐々に顕在化してきていたタイミングでもありました。「SHIKIN+」のチームで中心となった私と鈴木は、マネーフォワードケッサイにいたので、共通の前提知識がありました。だから「他のメンバーが何を理解出来ていないのか」がイマイチ掴めていなかったんですね。

西村:お二人の中では前提だと思っていても、今回からプロジェクトに参画したメンバーには共通認識になっていなかったり、ピンと来ていない部分もあった。プロダクトビジョンを作る過程が、その目線合わせにもなっていったと。

山本:本来ならプロダクトマネージャーの私が「こっちの方向だ」と意志を示さなければいけない部分だと思います。ですが山野さんは、客観的な視点からファシリテーションを通してリードしてくれたんです。

「自分はデザイナーだから」といった役割は関係なく、ゼロベースから皆の意見を吸い上げて方針を定め、みんなの足並みを揃えてくれました。私自身、このプロセスの中で山野さんの曖昧な部分を可視化したり、メンバーに分かりやすく伝えたりする技術を強く感じたので、この役割を担ってくれて非常にありがたかったです。

西村:チーム作りの観点で言えば、一人の意見を落とし込んでいくより、ハブとなるような動きをしやすい立場の人間が、それぞれの共通認識を作りにいくほうがうまく組織が推移されていくという部分はあるかも知れませんね。

事業計画にも寄与する、入念なインサイトの発掘

山本:組織全体の貢献という意味では、プロダクトビジョンに加え、リサーチも大きなインパクトがありました。プロダクトビジョンが定義され、組織的には動きやすくなったのですが、次なる議題に挙がったのは、「どうすればもっと使っていただけるか」でした。2021年末に事前受付をはじめ、顧客データが蓄積されはじめたのもあり、「もっとやれることがある」というのが徐々に顕在化してきたからです。

例えば、審査の申し込みをせずに離脱してしまうユーザーに対して、何がそぐわなかったのか、どうすれば申し込んでもらえたのか……など様々な観点でユーザーの課題感を分析したり、優先度をつけたりする必要がでてきた。そのリサーチも山野さんのお力を借りられた好例でしたね。

山野:離脱ポイントのリサーチですね。私と一緒にrootから参画していたUIデザイナーの棚橋とともに、「こういう視点はどうか」とオンラインホワイトボードツールを用いながら分析を進めました。多面的に分析することが必要だと考えていたので、二人がかりで進めたのが効果的だったと思います。

また、山本さんや鈴木さんのお力もかなり大きかったと感じています。分析に必要な情報に関して、「これが欲しい」とお伝えする前に、用意いただけることがとても多く。待ち時間がほぼなかったので、分析にしっかりと時間を割けたと思います。

山本:「デザインの仕事ではないけどいいかな……?」と思っていたのですが、丁寧かつ的確なインサイトを見出していただきました。ここで得られたものは、「SHIKIN+」の事業戦略やロードマップの策定にも大いに活かされています。特に、Biz Forwardは合弁会社という背景もあってステークホルダーの数が多い。その認識を揃える上で、重要な指針や判断材料になりました。

山野:実際のプロダクト改善では、プロジェクトに途中から参画した村松さんと一緒に進めていきましたね。まずは審査申込画面のUX改善、次に外部サービスで代用していた審査書類のフォームリニューアル、そして口座のデータ連携ができる機能の実装と、段階的に動かしていきました。村松さんは振り返ってみていかがでしたか?

村松:ご一緒して印象的だったのは、山野さんはデザインに限らず、さまざまな領域を横断して捉えた上で、最適なアウトプットを出されることでした。プロダクトビジョンもそうですが、デザインパートナーという本来期待されている役割を越えて、その都度やるべきことを定義し取り組まれてきているなと。

鈴木:その意味では、「文化」のようなものを残してくれたのも大きかったと感じています。具体で言えば、Notionの活用方法や、PRD(注:プロダクト要求仕様書)のテンプレート、会議でアイスブレイクを挟む習慣まで……。振り返ると、rootさんに伴走いただいたことで浸透したものが、少しずつ形を変えながら生き続けています。

山野:じつは、先日村松さんとランチをしたときにその話をしたのですが、本当にいいことだと思ったんです。我々が作ったものが残っていることも嬉しいのですが、それをBiz Forwardに合った形に改良が重ねられているのが、組織として理想的だと感じました。

各々がプロフェッショナルとして染み出し合うチーム

西村:組織文化の話も出ましたが、これからBiz Forwardのプロダクトチームはどのような組織を目指していくのでしょうか。

山本:私は長年サッカーをやってきたのですが、とあるサッカー漫画にあった言葉がチームの理想だなと感じています。「フォワードは点を取ることが仕事で、ディフェンスは守ることが仕事。プロフェッショナルとしての仕事を疎かにするとチームは成り立たないけれども、それだけでもゲームは成立しない。お互いが自分が担っている以上の役割をいかに果たせるかが、チームとして差が出るところだ」というものです。

これはプロダクト開発チームにも当てはまる。例えば、デザイナーはデザインを通した課題解決が仕事です。まずはプロフェッショナルとして、境界線の内側にある自分の役割を全うしなければならない。でも、その上で「顧客の本当の課題は何か」「プロダクトはどうあるべきか」といった課題の発見や、「どのようにチームワークを機能させるか」「日々のミーティングはどうあるべきか」といった部分まで見据えて役割を果たして欲しい。

お互いが染み出した範囲までカバーして、期待以上の役割をこなす。そうやって共創するのが理想的なチームだと考えています。

鈴木:スタートアップの初期は足りないことだらけですからね。もちろん自分のポジションを守るのは不可欠なのですが、本来の目的に立ち返ったとき、チームとして何をなすべきかを各々全員が考えて動けることはたしかに大事です。

山本:今回、冒頭で触れたプロダクトビジョンの設定は、まさにそんな価値発揮のあり方でしたね。「何が足りないんだろう」と山野さんが全体を俯瞰して、自然と動き出してくれた。走りながらお互いに補完しあう、理想的なチームのあり方を実践できていたのではないでしょうか。

村松:「足りないものを補完するためにどうすべきか?」と、各々が関わり方に関係なく近いマインドで取り組めていたと思いますね。だからこそ、職種を問わず主体的に仕事を行い、結果にも繋がっていたと思います。

山野:とてもありがたい言葉です。私はこの話を聞きながら、その前提に、「外部の人間」をフラットに受け入れてくれるBiz Forwardの皆さまの文化があると感じていました。様々な企業様とご一緒する機会がありますが、とにかくチームとして一緒に仕事をしやすかったです。だからこそ、私も自由にご提案や相談をできた部分もあったと思います。またご一緒できる機会があればとても嬉しいですね。

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