- date
- 2015.08.02
融け合うデザイナーとディレクターの境界。今双方に求められるスキルとは?
制作ディレクター不要説が飛び交うなどディレクターの存在価値を改めて問う動きが始まっているように感じます。 「ディレクター」という職種は今後どうなっていくのでしょうか? 今回は root の現場での経験も交え、これから求められるディレクター、デザイナー像について今私が考えていることをご紹介します。
目次
インハウス化の進む業界
ここ最近、業界の流れはディレクターやデザイナーのインハウス化が進んでいます。特に事業会社においては、会社の内部に制作部隊を抱え成長を遂げている事業会社(スタートアップ)も多いのではないでしょうか。 こうした流れになってきているのは、インハウス化することでより効率的にサービスを成長させられるという考えも一つの理由だと思われます。 インハウスの人間としてではなく、私達rootのように外部パートナーとしてサービス開発に関わるには様々なハードルもあります。 特にコミュニケーション面での折衝や、関わる事業そのものへの深い知見など、一朝一夕に身に付けられるものではありません。 そのため、外部から事業に携わるディレクターは、インハウスで働くよりもより、クライアントのことを深く理解するリサーチ力や洞察力が求められます。
ディレクターが担うべき仕事の領域
私はディレクターとデザイナーと言う職業が完全に分断された仕事であるとは考えていません。 私自身、元々デザイナーであり、今でも自らUIデザインの制作を行うこともあれば、お客様とのコミュニケーション、要件定義、企画、進行管理なども行っています。 いわゆるディレクターと呼ばれる領域の仕事も、デザイナーとしてこなしているのが実態です。 そういった意味でディレクターだから何をやらなければいけないと言う観点よりも、ここまでの経験値を元にデザイナー、ディレクター双方の領域を補う役割をになっていくのがより効果的な仕事ができるのではないかと考えています。
より高度な知識を求められるディレクター職
私達rootでは上記のようにデザイナー自身が、事業企画やサービス開発の上流工程を含んだデザインワークを行うことを推奨しており、そういった広範囲のスキルを持ったデザイナーのことを「デザインディレクター」と呼んでいます。(UXデザイナーと呼ばれる職種にイメージは近いかもしれません)
なぜデザイナーがディレクターを兼務する必要があるのか?
今までWeb制作の現場ではディレクターが要件定義したものをビジュアルデザインに起こす仕事がデザイナーが担う仕事になっていました。 サービス開発の現場において、この役割分担の定義が変化しています。より効率的に事業ビジョンをアウトプットするための方法として、デザイナー自身が事業企画側と密にコミュニケーションを取り、その場でイメージをプロトタイピングすることを求められるようになってきています。 これは新規事業開発という今まで世の中に存在しなかった製品を生み出す過程には、既存のWeb制作ワークフローでは実現できない点が多々あるためです。 世の中に存在しないものをアウトプットするためには、より多くのプロトタイピングを繰り返し、小さな失敗を繰り返す必要があるためです。 時代背景として今、デザインが注目されるのはこうした側面もあるように感じられます。 事業者側はよりデザインのことを理解する必要があり、デザイナーはより事業サイドのことを理解する必要があると言うことです。 新しいものを生み出す現場では、常にインプットとアウトプットのサイクルを短期間で回転させられるかがカギとなります。
これから身に付けておくべきスキルとは?
現職のディレクターが何を学ぶべきなのか?
いわゆる制作ディレクターと言われる職業に就いている方は今後より事業面とデザイン制作面のスキル両方に対する深い知見を持ち、中立的な立場でチームをファシリテートする力が求められるでしょう。 制作の進行管理やコミュニケーションを仲介する仕事は除々にプロジェクト管理ツールなどのサービスに代替されるようになり、より本質的な問題(実現すべきユーザー体験)を解決するためのスキルを求められるようになります。いわゆる「UXデザイン」と言われるスキルが、ディレクターの身に付けるべきものではないでしょうか?
デザイナーが身に付けておくべきスキルとは?
ディレクターと同じく、デザイナーもより上流からの関わりが求められるのは間違いないでしょう。デザイナーの強みはイメージを具現化できることであり、事業企画者が描くイメージをその場で素早くアウトプットできるスキルを持つことが求められます。先述の「UXデザイン」に対して、こちらは「UIデザイン」がより強く求められるかと思われます。 また、デザイナーの中にはコミュニケーションが苦手な人も多く見受けられますが、事業サイドへ踏み込み事業的側面からプロダクトを捉える広い視野を持つことも求められるでしょう。 UXデザインとUIデザイン、それぞれを軸とするプレイヤーがどう異なるのかは以下の記事で解説しています。 <関連記事>UI/UX デザイナーを雇わない方がいい理由 | root blog
まとめ
このように時代背景や関わる事業の内容によってディレクター、デザイナーそれぞれが担う内容も異なってきます。 重要なのはディレクターだからこうすべき、デザイナーだからこうすべきと考えるのではなく、事業を成長させるためにデザインが担う役割は何なのかをしっかりと理解し、広い視野で学ぶべきこと、実行すべきことを考えられる人が求められているのではないでしょうか。 制作サイドに関わる人々は、一度新規事業の立ち上げやWebサービス開発の一連のプロセスを経験してみることをオススメします。 そうすることで自分の関わる仕事の領域がどこなのかが理解でき、より広い視野で仕事への関わり方を見出すことができるでしょう。
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