- date
- 2017.01.12
事前リサーチでプロダクトの失敗を防ぐ──ペルソナの感情面を浮き彫りにする生成的ユーザー調査法

この記事はNearsoft, Inc.のProduct DesignerであるMisael Leon氏のブログ記事を公式に許可をいただき翻訳したものです。
人々に愛される製品をつくるためには、顧客からのインプットが必要です。
アンケートを通じてユーザーの動機を知ることもできますが、アンケートには柔軟性がなく、人間の中枢にある感情に近づくことができないという問題があります。
そこで登場する解決策が、生成的調査です。
参加型の演習を通して、顧客の心を開き、どこに彼らの動機が存在しているのかを探ることができます。私たちの言うことと実際にすることの間では、常にギャップがあります。それはもはや人間の本質です。生成的調査では、人間の認知フィルターを超えて、より奥底にある経験を掘り起こすことができます。
エリザベス B.N. サンダースはこのように述べています。「3つのすべての要素(人々の行動、発言、創作活動)を同時に調査すると、プロダクトや情報システムを使用してくれる人への理解や共感がより容易になります。」
目次
参加型の演習を面接に活用することのメリット
- より良い聞き手となり、共通の理解を得ることができる
- 会話を自然に展開することができ、より強固な関係を築くことができる
- ユーザーの動機や期待について、豊富な情報を得ることができる
- 感情と細部に満ちた話を聞く方法を発見することができる
- 参加者から彼ら自身についての洞察を聞くことができる
- 真の共感を感じることができ、解決策を導きだすことにつながる
演習の種類
生成的調査の良い点は、それが単なるフレームワークであるということです。思考や調査の一つの方法であり、多くの演習をカバーすることができるのです。それではさっそく、いくつかの例を見てみましょう。
“演習は、表面と深層にあるヒューマンエクスペリエンスを繋ぐ架け橋をつくる”
リスト
この演習では、参加者にあるコンセプトをもとにアイデアをたくさん出してもらいます。彼らの頭から最初に出てくるアイデアを知ることができ、つまり参加者にとって最も重要なものを理解できるという利点があります。リストを完成させるのには手間がかかりませんが、良い話し合いを生み出すことができます。
リスト演習が役に立つケース
- あるカテゴリーの要素を集める(例:料理の種類)
- あるトピックについて感情やニーズを知る
- 所有している物の情報を集める(例:自宅のトイレの棚になにが入っているか)
- ある一日のスケジュールを把握する
文章補完
この演習では、一連の不完全な文章を参加者に補完してもらいます。これはあなたが調査しているコンセプトについて、参加者が心の中で感じている関連性を巧みに引き出すことができる方法です。簡単に行うことができ、スムーズな話し合いを促す効果があります。
文章補完の演習をやる目的
- 議題に関連することや、欲求、嗜好、価値感を引き出すことができる
- 参加者自身の言葉を集めて、そのコンセプトに関連する象徴的な意味を理解することができる
- 行動と態度を分析することができる
並べ替え
カードの並べ替えでは、参加者にそれぞれの内容や機能のラベルが付いたカードセットを配布し、それらのカードを適切なグループに分類するよう促します。そこから得られた結果を元に、システムを構築する際に情報検索性を高めることができます。
並べ替えの演習を通しできること
- カテゴリの特定と探求
- それぞれの要素の関係を理解することで、ユーザーの精神モデルを学ぶことができる
- 好みや優先順位について学ぶことができる(参加者が要素をランク付けするとき)
- ストーリーを記憶することができる(参加者が画像を選択または並べ換えるとき)
作る
これは幅広い演習ですが、参加者に自分について表現をするチャンスを与えるという発想に基づいています。また、将来や健康関連の問題など、主観的で複雑なアイデアを例示する上でも役立ちます。
アクティビティーの例
- 絵を描く
- コラージュを作成する
- 彫刻、モデルをつくる
- 建物をつくる(例:レゴ、紙でつくったもの)
参加者がこれらを作成しその意図を説明するのには、多くの時間が必要であることを覚えておきましょう。
役に立つ点
- 表現が困難なアイデアを表現する
- 気分や感情を捉える
- 将来のシナリオを生成する
“優れた解決策を生み出すには、彼らの様々な感情を理解しなければなりません。”
デザインの中心は人間
顧客はもはや受動的な消費者ではなくなりました。意味のある解決策を生み出すためには、彼らの感情面を理解しなければなりません。
参加型の演習を使用すると、ユーザーのより感情的な部分を知ることができます。もし彼らに共感することができれば、彼らのライフスタイルに寄り添った製品をデザインすることができるでしょう。
“デザインは人間が中心にある”
生成的調査の方法は、目に見えないニュアンスを探求し、問題の解決策を生み出すのに役立ちます。人間こそが、自分たちの生活様式を理解する上での真の専門家であることを忘れないようにしましょう。
スティーブ・ジョブズもこう言っています。「人々が望むものを見つけ出すことは、消費者の仕事ではない」
著者について
著者のMisael Leon氏は、Nearsoft, Incのプロダクトデザイナーです。過去12年間にわたって、ビジュアルコンセプトとソフトウェアの制作、開発、設計をしてきました。
原文: USE THESE POWERFUL RESEARCH TECHNIQUES TO UNDERSTAND WHAT MOTIVATES YOUR USERS
翻訳者: 佐藤ゆき
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