- date
- 2016.01.27
言語化できないUIデザイナーが、デザインを説明できるようになった理由。
UIデザイナーの古里です。
rootで働きはじめて約4ヶ月が過ぎ、新年を迎えたということで(4週間ほど経ちましたが)少し振り返って感じたことを書いてみました。
以前は、自社サービスを運営する事業会社で1年半ほど働いていました。当時は、会話するのは社内の人間だけでしたが、現在は複数の案件を受け持つことになり外部の方とコミュニケーションを取ることが多くなりました。
rootに入ってすぐのころは、外部の方に自分がデザインした制作物を説明をしてもなかなか意図が伝わらず認識のズレが生まれ、プロジェクトがスムーズに進まないこともありました。
目次
そもそもなぜデザインを説明しないといけないのか?
そもそも、なぜデザインについて他者に説明しなければならないのでしょうか。これは個人的な見解ですが、定義されたゴールが達成できるか再確認するためだと考えています。
まず制作を始める前には、クライアントの方と話し合い、解決すべき課題と達成すべきゴールは何なのかを定義し関係者全員で共有します。そして制作後は、方向性はあっているのか、共有したゴールは達成されるのかレビューします。そのとき、デザインした意図を説明する必要があります。
デザインは見ための良さも重要ですが、何のために作るか定義することも重要だと思います。
なぜ伝わらなかったのか?
どうして自分が意図していることが相手にスムーズに伝わらないのか。その原因究明してみることにしました。
まず、自分の言動を振り返ってみてわかったことは、
・雰囲気やフィーリングなど抽象的な表現をしていること
・説明の文脈がばらばらであること
の2つが意図が相手に伝わらない原因であると分析しました。
どのように改善したのか?
まず、わかりやすく伝えるためのフレームワークをつくりました。
フレームワークと言ってもそんなに難しいものではありませんが、ルール化することで一定のクオリティを出せるのではないかと考えました。
1.主語を「私」から「ユーザー」に変える
いままでは「私は◯◯◯思います」や「こっちのほうがかっこいいです」など抽象的で主観的な説明しかできませんでした。主語を「ユーザー」に変えることによって何を解決すべきなのかが明確になります。
「ユーザーは◯◯というニーズがあります。そのため◯◯のように行動するので、このデザインにしました。」
2.そのデザインでどういう効果が見込めるか仮説を説明する
デザインするからには、やはり結果が重要です。ユーザーはどのような体験を得られるか説明するようにしました。
「ここを◯◯に変えることによって、◯◯という効果が見込めます。」
3.事例を並べるだけでなく、熟考されたデザインを提案する。
前までは「このサービスはよく知られているので〜」や「この人がつくったのでこれは良いデザインだと思います」のような抽象的な提案しかできませんでした。その頃よくありがちだったのは、良い部分を集めただけのツギハギなデザインになってしまい、結局誰の何を解決するのか見失うことが多々ありました。
UIデザインは共通したレイアウトやパーツの作法があるので、事例を参考にするのは重要なことですが、ユーザーにとって最適なものはなにかよく熟考したあとに提案することも大切です。「インプットは大量に、アウトプットはシンプルに」を常に心がけるようにしました。
4.議論が煮詰まってきたら、プロトタイピングツールを使って検証する。
会議などで議論しても進まないときは早くプロトタイプをつくって、実際に使ってみた感想を聞くようにしました。少し引いてみることで新しい発想が生まれる可能性がありますし、見えてなかったユーザーのニーズが浮き彫りになることもあります。高速でPDCAを回すことがサービスにとっても、また自分にとっても目標を達成するには重要です。
改善してみての結果
クライアントに納得してもらえる機会が増えました。
それだけではなく、自分の作業効率とアウトプットのクオリティが向上し、デザインに対する考えも深まりました。プロセスをルール化することで、複数のパターンを試すことができ、結果としてアウトプットのクオリティの向上へ繋がっています。
以前は、思考プロセスをルール化をしてしまうことで、固まったデザインになってしまうのでないかと心配していましたが、いろんなデザイナーのインタビューや書籍を読んでいると、「アウトプットは違えど、思考のプロセスは同じだ」という方が多い印象をうけました。思考プロセスのルール化は偏った考え方になってしまうのではなく、多種多様な課題対してフレキシブルに順応できる姿勢のことを言っているのではないかと思います。
デザインの説明が苦手な方や説明しても意図が伝わらない方は、思考プロセスのルール化を試してみてはいかがでしょうか。
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