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キャリアで辿り着きたい場所は最初からわからなくていい 〜Service Design Night vol.8 後編〜

これからの時代に求められるデザイナー像やデザインの役割など、次々に流れてくる情報に、自分のキャリアを重ね、焦るデザイナーも少なくないだろう。大量の情報に囚われず、自分が目指すデザイナー像を見つけるためにはどうしたらいいのか。そもそも、デザイナーはキャリア形成を考える必要があるのか。

2019年7月24日にTECH PLAY SHIBUYAで開催された「Service Design Night vol8 デザイナーぶっちゃけトーク〜今活躍する4人が考える、デザイナーとしてのあり方〜」では、事業会社、制作会社の正社員や、フリーランスと異なるキャリアのデザイナー4名が集い、自分の強みを活かしたキャリアアップの方法について、2部構成でセッションが繰り広げられた。

※セッション1はこちら:UIデザイナーとUXデザイナー。異なる視点から見たチーム作りと強みの活かし方〜Service Design Night vol.8 前編〜

セッション2のテーマは「そもそもキャリアって考えるものなのか」。登壇者は、制作会社を経て2015年合同会社DMM.comへ入社し、現在はフリーランスとして活動する細川絵理さん。Webデザイナーとして有限会社MOGRA DESIGN、株式会社DENDESIGNと制作会社を2社経験したのち、2018年に株式会社ピースオブケイクに入社した沢登達也さんのお二人。モデレーターは、Web/アプリに特化したデザイナー・コンサルタントとして活動する長谷川恭久さんが務めた。

挑戦したい気持ちを大切に、目の前のことに全力で取り組む。

まずマイクを握ったのは、現在フリーランスのデザイナーとして活躍する細川さん。

彼女には二つの転機があった。まず一つ目は事業会社への転職だ。1社目の制作会社ではクライアントのWebプロモーションやキャンペーンサイトの制作に携わってきた。そんな中、彼女の心を動かしたのは、自社採用サイト制作の案件だった。

細川:自社の採用サイト制作に携わる中で、自社のコンテンツを作ることが思った以上に楽しく、事業会社で自社のコンテンツ制作に携わりたい気持ちがどんどんと強くなっていきました。そして、いくつかの企業に話を伺い、DMM.comに転職を決めました。

DMM.comに入社後は、自社の新卒採用サイトや自社メディア「DMM inside」を始め、グループ全体に関わるクリエイティブの企画やデザインを経験。新規事業を担当する機会も多く、立ち上げからグロースまでプロダクトを継続的に見る業務スタイルに初めは苦労も多かったという。

細川:いちプロダクトのプロモーションのみを担当していた制作会社時代と比べ、今まで鍛えてこなかった筋肉を鍛えられている感覚でした。楽しくもありつつ、難しかったですね。サービスに適したアウトプットやシステムをゼロから考え、検証し、リリースまでもっていく経験ができたのはデザイナーとしての視座が上がる大きなきっかけでした。

参考記事:3年と3ヶ月とこれから|Kirin|note

DMM.comでは自由度高く働いていた一方、自らのデザイナーとしての信念をグッと抑えることもあったという。自分のデザイナーとしての身の振り方と、「より多岐にわたる事業に携わりたい」という思いが膨らんだことが二つ目の転機となり、DMM.comを退職。フリーランスへ転向した。現在はパッケージデザインや広告デザインなどに携わっている。ここで、自身も長年フリーランスとして働くモデレーターの長谷川さんから、働き方について問いが投げかけられた。

長谷川:自由度の高い働き方ができるフリーランスでも、自分が希望する案件に関われるとは限りません。フリーランスになった際に掲げた、「多岐にわたる事業に携わる」目的は達成できていますか?

細川今のところは実現できていますね。そのために、継続案件と単発案件を一定バランス良く入れたり、今まで働いてきた会社の仕事を手伝ったりもしています。

継続して自分にあった仕事を得るためには、クライアントと良好な関係を築くことも大切だ。長谷川さんからの問いを受け、最後に細川さんがフリーランスになってからクライアントとの関係づくりで意識している「受け身になりすぎない姿勢」について語ってくれた。

細川:クライアントが作りたいものありきで仕事をいただくがゆえに、受け身になりすぎないようにしています。相手の作りたいものを尊重した上で、さらによくするためには何ができるかを積極的にコミュニケーションしていく。すると、期待値を超える体験や、関係性が構築されるので、同じクライアントからまた仕事をいただけることもある。常に相手の期待を意識し、それを超え続けることが、フリーランスとして仕事を継続する一つのポイントなのかもしれません。

客観的な市場価値と自分のやりたいことの掛け合わせでキャリアを作る

続いては、ピースオブケイクにてnoteのWebカイゼンチームに所属する沢登さん。

同氏は、新卒でWebサイト制作を主とするMOGRA DESIGNに入社。デザイナー兼マークアップエンジニアとして8年間、プロジェクトのディレクションからデザインまで幅広く経験した。その後、UI/UXデザイン会社のDENDESIGNに転職。3年間リードデザイナー兼フロントエンドエンジニアとして、デザイナーのマネジメントやアートディレクションを務め、デザイナーを取りまとめチームをリードして良いアウトプットを出す術を身に着ける。

ここまで計11年間制作会社に勤めた沢登さんにとって、ピースオブケイクは、初の事業会社への就職だ。転職を考えたタイミングは、今後のデザイナーとしてのキャリア形成にもっとも悩んでいた時期だった

沢登:当時は、デザイナー経験を10年近く積んで、一定のスキルは身に着いた頃でした。ただ、これから自分がどんなキャリアを積んでいきたいかわからなくなっていたんです。

その答えを探るため、沢登さんは複数の企業に足を運び、面談を重ねていったという。そこでの対話や評価を通じて「自分の強み」を客観的に浮かび上がらせていったのだ。

沢登:さまざまな企業と話す中で、自分は、職人のように一つのスキルを極めるよりも、プロジェクトを俯瞰して、足りない穴を埋めるほうが得意だと気づいたんです。そして、自分のようなスキルセットを求めている企業もたくさんあると知れたのも良い経験になりました。第三者目線で自分の価値が再認識できたことで、自信もつきましたし、進むべき道も見えてきたんです。

その後沢登さんは、自身の強みは一定規模で多様な人がいるチームでこそ活きると考えた。そこで、さまざまな職種の人とともに働ける場を求め、本格的に転職先を探し始める。

沢登:当時は、ほぼ事業会社に絞って考えていましたね。制作会社だとデザイナーとばかり仕事をすることになる。キャリアアップを考えるなら、ディレクターやエンジニアと切磋琢磨できる環境に身を置きたいという思いがありました。

参考記事:自分のことを知ると、働きやすいし生きやすい。 『note』デザイナー沢登達也さんのクリエイター人生

結果、以前から面識もありプロダクトも面白いフェーズだと感じていたピースオブケイクにジョイン。転職後は、制作会社と事業会社の違いを数多く実感した。その一つが、職域を超えた仕事も求められることだ。

沢登:事業会社はプロダクトだけではなく、組織全体のサイクルがうまく回る仕組みを考えなければいけません。そのため、メンバーそれぞれが自身の専門外の仕事も担い、働きやすい環境づくりにも積極的に取り組んでいます。

もともと他業種と切磋琢磨する場を求めていたことと環境、双方の影響から、沢登さんは手を動かすだけでなく、チーム全体のモチベーションマネジメントにも力を注いでいる。

市場で自分が求められている価値と自分の興味範囲に応じて柔軟にキャリアを変えてきた沢登さん。自分が将来あるべき姿に捉われすぎず、立ち振る舞いを環境にフィットさせるのも、一つのキャリアパスなのかもしれない。

情報に流されない。自分の「軸」を持ってキャリアを築く 

自分がやりたいと思うことを追求し続け、キャリア形成をしてきた細川さん。自分の市場価値を客観的に見つつも、その時々で軸を定め働く場所を選んできた沢登さん。

時代の変化のスピードが早くなり、5年後、10年後まで綿密にキャリア形成をしても、計画通りには進みにくい。そんな中で、二人のキャリアの積み方は将来に悩むデザイナーの一つの指針となるのではないか。

一方で、SNSを通じ多様なデザイナーのロールモデルが発信されているゆえ、どんなキャリアをこれから選べば良いのかわからず二の足を踏んでしまうデザイナーも多いはずだ。そんなデザイナーに向け、二人からキャリア形成におけるアドバイスが語られた。

細川さんは、SNSから発信される情報を気にしすぎず、まずは目の前の仕事で成果を出すことが次のキャリアに繋がると述べた。

細川:最近はSNSで誰もが手軽に情報を発信・受信できるがゆえ、膨大な量の情報に惑わされている人が少なくない印象を受けます。たしかに、SNSでしか得られない情報もあるので活用するに越したことはありません。

ですが、さまざまな人の主張を鵜呑みにし、無駄に将来の姿に焦り、目の前の仕事がおろそかになっていては、いざ転職しようとしてもスキルが足りないかもしれません。まずは、自分が周りから期待されている役割に全力を出すことが大切ではないでしょうか。

沢登さんも細川さんに同意し、人と比較しすぎて萎縮してしまうのではなく、まずは今の自分に何ができるかを知ることが大切だと述べた。

沢登:他の会社の人に会いに行く、転職エージェントの人と話すなど、客観的に自分の市場価値を知るための行動をとることで、自社以外にはどんなところで自分の強みが活かせるかを知ることができます。

他の場所でも活躍できると知れば、人と比較して漠然とした不安にかられることも少なくなるでしょう。僕の場合は「デザイナードラフト」を転職のタイミングで利用しました。まずは自分の強みを、第三者目線で認識するところから初めてみてください。

キャリアアップの方向性を見つけるのに必要なのは、「目の前の仕事に全力で取り組むこと」と「対外的に自分の価値を知ること」。自分の意思に忠実にキャリアを積む経験と、情報や流行りに流されないために自分の軸を定めることが、納得感のあるキャリアを築く鍵なのかもしれない。

※4人の登壇が終わったのち、イベントは会場からの質疑応答の時間に。会場からの質問に、後日Twitterでモデレーターの長谷川さんから回答が寄せられました。ご興味ある方は、ご覧くださいませ。

 

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